図1●Wyse vWorkspace 8.6の概要。コネクションブローカー機能を提供する
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写真●デル、クラウド・クライアントコンピューティング事業部長の足立修氏
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 デルは2015年9月15日、デスクトップ仮想化(VDI)ソフトの新製品「Wyse vWorkspace 8.6」(図1)を販売開始した。これまで国内では提供していなかったソフトだが、画面などを日本語化したことを受けて販売を始めた。主な特徴は、デスクトップ画面のネットワーク転送量を抑える仕組みなどによって性能を高めていること。価格(税別)は、1ユーザー当たり4万2000円。

 国内でVDIソフトを販売する狙いについて、デルでクラウド・クライアントコンピューティング事業部長を務める足立修氏(写真)は、「VDIが主要なITシステムであり続けている中で、端末だけでなくVDIソフトも提供したい」と説明する。販売ターゲットは、これまでVDIシステムを導入してこなかった企業や小規模企業など。導入を容易にするため、デルのPCサーバーと組み合わせたアプライアンス製品も用意する。

仲介後は仮想デスクトップ上のエージェントと直接通信

画面●Wyse vWorkspace 8.6のコネクションブローカーにWebブラウザーでアクセスした画面。ここから接続先となる仮想デスクトップを選んで起動する
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 製品は主として、VDIソフトの中核機能でシンクライアント端末と仮想デスクトップの接続を仲介する“コネクションブローカー”の機能を提供する。エンドユーザーの社員は、最初にWyse vWorkspaceにアクセスし、接続先の仮想デスクトップを選ぶ(画面)。コネクションブローカーはその後の通信には介在せず、シンクライアント端末と仮想デスクトップが直接コネクションを張って通信する。

 コネクションブローカー以外のソフトウエア要素として、操作対象の仮想デスクトップ上にインストールする専用のエージェントソフトと、シンクライアント端末側で動作するクライアントソフト(Webブラウザーで代替可能)がある。セッション確立後は、エージェントソフトとクライアントソフトとの間で、米マイクロソフト標準のRDP/RemoteFXまたはHTML5を使って画面情報を直接転送する。使用する画面情報端末プロトコルをコネクションブローカーからエージェントに通知する仕組み。

 仮想デスクトップは、任意のサーバー仮想化ソフト(VMware ESXiやHyper-Vなど)の上で仮想マシン型のデスクトップを個別に用意するVDI型のやり方と、Windows Serverが備えるターミナルサービスベースのRDSH(Remote Desktop Session Host)を利用するやり方のいずれかを利用できる。これらの仮想デスクトップの上でWyse vWorkspaceのエージェントソフトが動作する。

ネットワーク転送量やストレージアクセスを低減して高速化

図2●マルチメディアコンテンツの描画をシンクライアント端末にリダイレクト/圧縮してRDP通信を高速化する
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 他のVDIソフトと比較した特徴としてデルは、(a)性能が高いこと、(b)価格が安いこと、(c)シンクライアント端末とVDIソフトの両方をデル1社でWyseブランドとして提供できること、(d)サーバー仮想化ソフトや画面情報端末プロトコルなどに依存しないアーキテクチャーであること、などを挙げる。(a)の性能については、画面情報端末プロトコルにRDPを使った場合に特に優れるという。

 例えば、動画や音声などのマルチメディアコンテンツをRDP以外の通信チャネルでリダイレクトし、端末側で描画/再生できる(図2)。Flashコンテンツも、いったん映像に変換してから端末側にリダイレクトして、端末側でこれを映像として描画する。これらにより、転送データ量を圧縮できるようになる。また、ストレージアクセスをメモリーでキャッシュする機構も備える。これにより、出社時などにストレージアクセスが集中して性能が劣化する問題を緩和する。