写真●クラウド基盤の構成を説明するヤフーの阪田浩隆氏。管理サーバー群は5重化しているという
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 ヤフーと子会社でレンタルサーバー事業者のファーストサーバは2015年02月05日、法人向けのクラウド基盤を新たに構築し、レンタルサーバーのサービスを刷新すると発表した。ヤフーが法人専用のIaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)基盤を新規に構築・運用し、この基盤をファーストサーバが借りて新サービス「Zenlogic」を提供する。

 ファーストサーバは自社のデータセンターで、物理サーバーを分割して貸し出すレンタルサーバーを中小企業などに向けて提供してきた。今後は一定期間をかけて既存顧客が新サービスに移行することを促し、移行が終了し次第、サーバーの保有・運用から完全に撤退する。

 レンタルサーバ事業者が「サーバーを捨てる」(ファーストサーバの村竹昌人社長)という決断に踏み切った背景には、従来のレンタルサーバー事業の枠組みでは、低料金やサービスの品ぞろえと構築・運用の信頼性向上を両立させることが、困難になりつつあるからだという。ヤフーが構築する基盤は全面的に仮想化技術を採用し、複数のサービスで共通利用する。「サービス提供までの工数は5分の1になった」(村竹社長)といい、サービスの信頼性を高めながら原価は従来より低減できたとしている。

 第1弾として提供する新サービス「Zenlogicホスティング」は、1契約に対し1台の仮想サーバーを占有で貸し出すサービス。レンタルサーバーとIaaSの中間型サービスとしており、処理が集中する時間帯にはリソースを増加させることもできる。1仮想CPU、メモリ1Gバイトを搭載したサーバーの貸出料金は月額2970円から(1年間契約時)。2月5日からサービスを開始し、7月には既存顧客向けに移行ツールの提供を始める。

 ヤフーは今回の法人向けクラウド基盤を、個人向けサービスにも採用しているOpenStackを用いて構築した。ただし可用性や信頼性を高めるため、個人向けとは構成や冗長度などの設計を一新した。

 例えば、サーバーやストレージなど機器は3重化を標準として、「ユーザーデータは3重化に加えて遠隔バックアップを取り、管理用サーバー群は念を入れて5重化する構成とした」(ヤフーのマーケティングソリューションカンパニー開発本部の阪田浩隆氏)。今回のインフラ構築を踏まえて、グループ企業や他社へのインフラ貸し出しも検討しているという(写真)。

 ファーストサーバは2012年6月にユーザーのデータを消失させる大規模障害を起こしている。その後、運用体制を見直し再発防止に取り組んでいた。