写真1●オープンガバメント・コンソーシアムで講演する鯨井佳則・厚生労働省大臣官房参事官(写真左)
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写真2●パネルディスカッション「医療分野における番号制度の活用」
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 オープンガバメント・コンソーシアム(OGC)は2015年2月2日に「医療分野における番号制度の活用」と題したパネルディスカッションを開き、鯨井佳則・厚生労働省大臣官房参事官は医療分野でのマイナンバー制度の議論には誤解が多いと語った(写真1)。

 鯨井参事官は、マイナンバー制度への誤解を4つ挙げた。その1つは、制度によって医療分野の情報共有が一気に進むような誤解があるという。マイナンバーはデータの突合や長期間追跡する手段の1つに過ぎず、医療分野の情報連携は「医療情報を共有できるネットワーク環境やデータの標準化などのインフラがあって初めて活用できる」と語った。

 さらに誤解の2つめとして、マイナンバーの利用範囲が限定列挙された行政事務と同じように情報連携して医療情報を扱えると誤解されていると指摘。法律で規定された行政手続きに本人同意は不要だが、それ以外では法律違反となる。民間利用には患者の同意が絶対条件だと述べた。

 また3つめに、12桁の個人番号がネットワークに流通するかのような誤解があるという。マイナンバーの情報連携にはコンピュータしか認識できない数百桁の記号である「機関別符号」を使う。この符号を医療IDとして使えば、医療界が求める「マイナンバーではなく別番号を使う」という仕組みが実現できると説明した。

 その上で、厚労省の「医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会」が2014年12月に公表した「中間まとめ」には、医療分野には「保険資格のオンライン確認」や「健診データ連携」「予防接種の履歴管理」といった行政利用に近い分野と、「医療機関・介護事業者の連携」といった民間利用があるとした。

 このうち中間まとめでは、2017年7月までに「保険資格のオンライン確認」を優先して取り組むと提言した。ところが医療界にはマイナンバーを使うという誤解があるという。鯨井参事官はマイナンバーではなく、個人番号カードのICチップに内蔵された公的個人認証の電子証明を利用して受診時のなりすましを防ぐものだと説明した。

 その後のディスカッションでは、全国に161件あるという地域医療連携ネットワークを補助金に頼らず続けるには、患者だけでなく病院にとってメリットのある仕組みが必要といった議論がされた(写真2)。

 OGCは、オープンなクラウド技術による電子政府や電子自治体を提言している。OGC会長の須藤修・東京大学大学院情報学環長はマイナンバー制度について、データを使って社会をうまく回す制度だとして、預貯金に付番する政府方針を基に「資産に課税する方向になる」と語った。戸籍などに番号が広がれば自治体業務が大きく変わり、地方活性化に役立つと述べた。