図1●人物特定用のカメラが設置されている京都市中京区の商業施設「新風館」
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図2●「環境適応型で実用的な人物照合システム」研究プロジェクトの実施体制(出典:科学技術振興機構)
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 京都大学学術情報メディアセンターは2014年8月8日、京都市内の商業施設で来訪者に告知せず、研究目的の映像を無断撮影していた問題について、「プライバシー情報の取り扱いに対する配慮が欠けていた」と謝罪する文書を出した。前日までに経緯を文部科学省に報告した。

 問題になっているのは、京大やオムロンソーシアルソリューションズなどが参画する研究プロジェクト「環境適応型で実用的な人物照合システム」である。2010年から、NTT都市開発が保有・運営するショッピングセンター「新風館」(京都市中京区、図1)の内部にカメラを設置して撮影を行っている。

 研究プロジェクトは、カメラで撮影した人物の映像を解析し、犯罪捜査などの目的で特定の人物を検索・追跡しやすくする技術の開発を目指している。研究プロジェクトが事前に策定したプライバシーポリシーでは、ショッピングセンター内の見やすい場所に撮影の事実などを表示することを定めていた。だが、2014年3月まで3年半の間、表示がされていなかった。

 京大は「システム調整等に手間取っている間にその表示について失念していた」と釈明している。現在は、ショッピングセンター内で撮影に関する表示を出している。撮影自体は2015年3月頃まで継続する。

 適切な表示をしていなかった期間に撮影した映像は「保管庫に施錠のうえ厳重に隔離しており、適切な時期に完全に消去する予定」としている。消去の時期について、京大学術情報メディアセンターは「事実関係の調査に備えて当面の間保管する。時期は決めていないが、すみやかに消去する」と説明する。

 京大がこれまでに撮影された映像の一部は、個人を特定できないよう加工されているものの、既に研究成果論文などで公表されている。オムロンソーシアルソリューションズとも共有していた。プロジェクトには東京大学や名古屋大学、中国清華大学や中国科学院なども参画する(図2)が、オムロン以外のプロジェクト構成員やプロジェクト外への映像提供はないとしている。

京都大学学術情報メディアセンターの発表資料
「環境適応型で実用的な人物照合システム」の概要
オムロンソーシアルソリューションズの発表資料