NECは2016年10月7日、バーチャルリアリティ(VR)を使った訓練システムなどを「法人VRソリューション」として提供開始すると発表した。NECソリューションイノベータなどのグループ企業が開発、提供してきたシステムを体系化。企業向けに、VRを使ったシステムに必要なHMD(ヘッドマウントディスプレー)などの機器やVR映像、システム構築などを提供する。

 同ソリューションでユーザー企業として想定するのは、製造業や建築、小売り業などが主だ。例えば、製造業では工場の生産ラインなどの現場で、熟練者の動きを習得するのにVRシステムが役立つという(写真1)。建築の分野では、完成前の建物の内装を確認できる。既にNECは、製造業などを中心に約50社と商談を進めているという。

写真●工場の生産ラインで作業者の動きを体験できる。熟練者の動き方を表示させることもでき、作業の訓練に役立つという
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 「2016年に入り、VRを使ったシステムについての問い合わせが増加した。VRの認知度が高まり、業務利用の要望が増えている」。NECソリューションイノベータ イノベーション戦略本部 次世代ヒューマンインタラクション事業推進室 森口昌和主任はこう説明する。

 HMD機器などを貸し出す「VRお試しパック」も提供開始した。2週間の利用で、提供価格は5万円(税別)から。ユーザーの保有する3DのCADデータをVR映像に変換するサービスも提供する。価格は10万円(税別)から。

 NECは当日、報道関係者向けに開いた体験会で、法人VRソリューションで提供するシステムのデモを公開した。VR技術を開発する米オキュラスのHMD「Oculus Rift DK2(Development Kit 2)」や、韓国サムスン電子の「Gear VR」、台湾HTCの「HTC Vive」などを用意した。

 利用者はHMDを装着すると、工場の生産ラインの作業や、林業の作業などを体験できる。装着した頭部を動かすと、VR映像にも反映される。利用者が頭を右に向けると、映像の中でも頭部が右を向く。映像は、HDMI端子で接続するケーブルでPCから伝送。頭部の動きなどのデータは、USBケーブルでPCに送信される。

写真2●HMDは米リープ・モーションの端末を搭載し、手の動きをジェスチャー認識する。写真でHMDに外付けされているのが、ジェスチャー認識用の端末
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 デモのシステムは、利用者の手の動きを追跡するジェスチャー認識機能も搭載。ジェスチャー認識に使うのは、ジェスチャー認識技術を開発する米リープ・モーションの端末だ(写真2)。森口氏は「頭部の動きや手の動きを記録できる。これらのデータを分析して、利用者が危険な作業はしていないか、無駄な動きはしていないか、などを調べられる」と話す(写真3)。

写真3●NECソリューションイノベータ イノベーション戦略本部 次世代ヒューマンインタラクション事業推進室 森口昌和主任(右)
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