DMG森精機と日本マイクロソフト(MS)は2016年9月9日、工作機械やその制御システムなどのIoT(インターネット・オブ・シングズ)開発で技術協力すると発表した。工作機械に取り付けたセンサーから稼働状況のデータを収集し、故障を予測したり別の場所から稼働状況を監視したりするための技術を共同で開発する。協業により、DMG森精機は工作機械に取り付けてデータ収集するデバイスを開発する。DMG森精機の森 雅彦取締役社長は「2017年の秋までには提供を始めたい」と話した(写真1)。

写真1●DMG森精機の森 雅彦取締役社長
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 工作機械は「世界で5兆円から6兆円の市場と言われているが、IoT化を進めれば販売だけでない大きな市場になる」(森社長)という。森社長が期待する大きなビジネスの一つが、稼働状況の監視や故障を予測してメンテナンスを促すサービスだ。インターネット接続機能のない機械にも取り付けられるデバイスを開発することで、既存の工作機械を使う企業にサービスを売り込む考え。同社製の工作機械は世界中の工場で使われており、そのうち22%は1980年代に導入されたもの(写真2)。新しい機械販売に依存しない事業への展開を期待している。

写真2●DMG森精機の工作機械を導入している企業の従業員人数ごとの割合(左)と工場で稼働している同社製工作機械の年代別割合(右)
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 日本MSの樋口泰行 執行役員 会長は「工作機械や工場のIoT化に向けて、お互いの課題に協力して取り組んでいく」と話した。課題の一つは機械制御やデータ収集のためのソフトウエアだ。長ければ20年以上使い続ける工作機械を安全にインターネットへ接続するには、制御やデータ収集、送信のソフトを最新に保つための開発が必要だという。現在の工作機械は電子制御が進んでおり、遠隔操作や自動操作などソフトによる機能が工作機械の強みになっている。インターネット接続下でも長く安全に使えるソフトの開発に取り組む。

写真3●日本マイクロソフトの樋口泰行 執行役員 会長
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 樋口会長は「協業はお互いの目標が一致したため。2社に限らず、ほかの企業とも一緒に取り組む可能性もある」と話した。既存機械をIoT化するデバイスだけでなく、工作機械のIoT化や工場全体のIoT化を進めるための開発に継続して取り組む。既に実証実験を進めており、収集したデータを分析して故障を予防するメンテナンスを実施したりすることで「工場の稼働率が数%向上することが分かっている」(DMG森精機の森社長)という。

 DMG森精機が協業のパートナーとして日本MSを選んだ理由は、「世界中に拠点があり、セキュリティパートナーとして工作機械を使う顧客に安心してもらえる信頼と知名度がある」(森社長)と判断したため。DMG森精機が開発した工作機械の制御や稼働状況の可視化するソフト「CELOS」が、OSにWindowsを使っているのも理由の一つだという。