無人自動販売機向けのキャッシュレス決済サービスを提供するイスラエルのNAYAXが、今秋にも日本で本格始動する。自動販売機にキャッシュレス決済を導入すれば、現金の持ち合わせがない消費者であっても販売機会を失わずに済む。「全ての支払い手段を受け入れる」。NAYAXのネクマド・ヤイル CEO(最高経営責任者)は、このように語る。

写真1●NAYAXのネクマド・ヤイル CEO(最高経営責任者)
[画像のクリックで拡大表示]

どんな事業を手掛けているのか?

 当社のサービスは、無人自動販売機でのキャッシュレス支払いを可能にする(写真1)。自動販売機に設置するハードウエアから通信、ユーザー向けのモバイルペイメントアプリまで、全てを担っているのが特徴だ。テレメトリ(無線による自動計測)機能も提供する。

 支払い手段も多彩だ。クレジットカードはもちろん、QRコードなど、多様な決済手段に対応している。消費者はスクリーンで支払い方法を選び、カードをスワイプしたり、挿入したりして決済できる。カメラにQRコードを読み込ませて決済することも可能だ。全ての支払い手段を受け入れる。それが我が社のコンセプトだ。

 自動販売機にキャッシュレス決済を導入することで、現金を持ち合わせない消費者にも商品を買ってもらえるようになる。当社のサービスを採用することで、自動販売機の運営会社は売り上げを15~20%伸ばしている。

コインロッカーやランドリーマシンも対象

 現在は約50カ国で事業展開しており3分の1が北米、さらに3分の1が欧州、残りがイスラエルを含む他の地域だ。世界で10万台以上の自動販売機に採用されている。

 欧州で自動販売機を運営するセレクタ・グループなど大手企業も顧客として抱えているが、多くは中堅・中小事業者だ。当社に委託すれば、一連のキャッシュレス決済サービスが導入できる点が評価されている。キャッシュレス決済を提供する競合は存在するものの、いずれも部分的なソリューションしか提供できていないのが実態だ。

 一口に自動販売機といっても多岐にわたる。飲料販売用途を思い浮かべがちだが、コインロッカーやランドリーマシンなどにも、当社のサービスは応用が利く。ビジネスチャンスは豊富に存在している。

日本での事業展開について教えて欲しい。

写真2●自動販売機に取り付ける決済端末「VPOS」
[画像のクリックで拡大表示]

 2016年10月にも本格的に参入する。まずは、ハードウエア端末の「VPOS」を投入し、2017年頭には完全なサービスを提供できるようにするつもりだ(写真2)。18カ月にわたる調査の結果だ。最初のきっかけは、安倍晋三首相のイスラエル訪問。日本の市場は世界に開かれており、多くのビジネスチャンスがあると聞いた。日本市場は巨大だ。世界的にみても、無人自動販売機が最も多い国と言える。

 日本では、キャッシュレス化が強いトレンドになっている。運営会社がすぐに飛びついてくれるとは思っていないが、我々にとって追い風だ。さらに、当社が提供するテレメトリ機能への需要も大きいとみている。日本の運営会社は、人手不足に陥っている。テレメトリ機能によって自動販売機の商品の減り具合などが遠隔で分かれば、効率化が図れる。日本企業が抱える課題の解決にもつながるだろう。

 考慮すべきユニークな要素は存在する。例えば、東日本旅客鉄道(JR東日本)などが手掛ける電子マネーもその一つ。うまく対応しなければならないだろう。

各国市場に適用するノウハウは十分にあるのか。

 もちろんだ。世界的には、クレジットカードとデビットカードのニーズが強い。ただし、そうではない地域も存在する。好例が中国だ。中国では銀聯カードはもちろん、QRコード型の「Alipay」や「WeChat Payment」の利用が盛ん。そこで中国だけは、QRコード決済を提供したりしている。

今後の展望は?

 先のことは分からないものだ。ただ確かなことは、キャッシュレス化への流れは、世界的に不可逆的なものであること。市場はどんどん大きくなる。

 大きな目標は、グローバルでナンバー1になること。当社の事業領域は、中堅・中小の運営会社が多い。こうした企業に採用してもらうには、高い付加価値を提供しながらも、価格を安く抑える必要がある。そのためにはグローバルで広く展開し、スケールメリットを出すことが欠かせない。IPO(新規株式公開)も一つのオプションだが、まだ会社の規模は小さくて時期ではない。将来的に実施するとしても、3~4年はかかるだろう。