2011年にイスラエルで創業したアップスフライヤーは、モバイル広告の効果測定サービスで中国やインドで巨大なシェアを獲得、勢いそのままに2015年に日本上陸を果たした。強さの秘訣は料金体系にある。競合他社がユーザー数に応じて継続課金するなか、同社はインストール時だけ課金する料金体系を採用する。ユーザー数の多いアプリでも、サービスを継続利用しやすくし、シェアを伸ばす戦略だ。実際中国では約7割、インドで5割のシェアを握っているという。日本のカントリーマネージャーを務める大坪直哉氏は、「データを使いたくても諦めていた企業に、サービスを届けられる」と語る。

どんなサービスを提供しているのか。

 広告主向けに、モバイルアプリの広告効果測定サービスを提供している。アプリがダウンロードされるまでの経路はもちろん、アプリ内でのユーザー行動も、管理画面を使って分析できる。アプリの世界には、アクイジション(獲得)とリテンション(維持)という二つの競争がある。当社のサービスは、両方で有効に利用できる。各アプリストアで約150万のアプリがひしめく中、一つの端末にインストールされるアプリは約50程度。厳しい競争を勝ち抜く支援をする。

写真●アップスフライヤーでジャパンカントリーマネージャーを務める大坪直哉 氏
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 特徴は、エンドユーザーがアプリをダウンロードまでのストーリーを深いレベルで可視化できる点だ。例えば、動画広告でアプリを認識し、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の広告を閲覧、最後にグーグルで検索してダウンロードした、といった一連のユーザー行動を把握できる。従来型のサービスでは、グーグル検索でダウンロードに至ったという最後の部分しか分からないものもある。当社のサービスは、ゴールを決めた人間だけでなく、誰がパスを出したかまで分かるようにしているわけだ。

 この違いは大きい。先ほどの例でいうと、従来型のサービスを利用するマーケッターは、「グーグルへの広告費を増やそう」とするかもしれない。しかし、実際は動画広告やSNSも一定の役割を果たしている。確かなファクトに基づいて判断を下せるか否かで、結果は大きく異なるはずだ。

サービスの強みはどこにあるのか。

 当社のサービスは中国で約7割、インドで約5割のシェアを獲得している。中国アリババや百度(バイドゥ)も当社のクライアントだ。米国でも、ペプシコなどの大手企業に採用されている。日本は昨年にオフィスを構えたばかりだが、ディー・エヌ・エーなどで使われている。

 最もディスラプティブ(破壊的)なのが料金体系だ。競合他社のサービスは通常、月間アクティブユーザー数などで継続課金する。ユーザー数が増えれば増えるほど、費用負担が重くなる仕組みだ。当社は、広告経由でインストールがあったときだけ課金する。言い換えれば、広告を打っていない間は、無料で管理画面が使える。1度獲得したユーザーに対して、継続課金するようなことはしない。

シェア獲得できれば問題ない

 ポイントは、アプリ内でのユーザー行動を分析するためのコストも抑えられる点だ。他サービスは、アプリ内での様々なイベントに課金する。EC(電子商取引)ならばカートに入れたとか、ゲームならばあるレベルに達したとか、そういったイベントごとに料金を取られるので、データ取得を諦めるクライアント企業もある。データを取り始めると、一気にコストが膨らむからだ。

 当社のコンセプトは、クライアント企業によるデータ活用を民主化すること。当社は、データを取得しやすい料金体系にしている。もちろん単価は下がるが、シェアを獲得できればビジネスとして問題ない。長期的な戦略で考えて、実現した料金体系だ。実際、中国やインドで支持を得られたのは、料金体系に因るところが大きい。

なぜ日本に進出したのか?

 米国や韓国では、モバイル利用におけるアプリの使用時間が85%を占める。日本は相対的に低かったが、昨今は7割を超えてきた。こうしたユーザー動向に従って、クライアントの興味関心も高まってきたと判断し、日本に拠点を作ることを決めた。

 当社が日本進出したのは昨秋のことだが、それ以前から高く評価してくれる人は少なくなかった。そのため日本進出直後から、大手クライアント向けにも順調に導入が進んでいる。

 2016年は、日本へのローカライゼーションを積極的に進める。日本市場に対して、かゆいところに手が届く機能をどんどん投入するつもりだ。