伊藤 貴博=NTTデータ経営研究所 デジタルイノベーションコンサルティンググループ シニアコンサルタント

 デスクトップ仮想化とは、仮想化技術を用いて、クライアント端末から切り離された環境(サーバー)にOSをインストールしてデスクトップ環境を構築し、そのデスクトップ環境にクライアント端末からアクセスすることで、デスクトップ環境を利用する仕組みです。

 デスクトップ仮想化では、サーバー上で実行しているデスクトップ環境の画面イメージをクライアント端末側で表示します。このため、クライアント端末は高い処理性能を要求されません。キーボード等のデスクトップ環境を操作するための入出力装置や画面ディスプレイを中心に構成されたシンクライアント端末のように、低スペックの端末でも利用できます。また、仮想デスクトップの利用に特化した“ゼロクライアント”端末もあります。CPU、OS、ハードディスクなどを搭載しないで、画面出力と入出力の機能だけを備え、処理は全てサーバー側のデスクトップ環境で行うことを想定した製品です。

 デスクトップ仮想化は以前からある技術ですが、サーバーの高性能化や価格性能比の向上、ネットワークの高速化・大容量化、画面転送プロトコルの高速化など、これまで導入の障壁となっていた様々な課題が解消されたため、普及が進んでいます。

デスクトップ仮想化の3方式

 デスクトップ仮想化の主な実現方式には、(1)ターミナルサービス方式、(2)仮想PC方式、(3)ブレードPC方式の3つがあり、それぞれ特徴が異なります。業務の特性に合わせて最適な方式を選ぶことが、導入する上でのポイントとなります(表1)。

表1●デスクトップ仮想化の3方式の比較
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(1)ターミナルサービス方式

 ターミナルサービス方式では、ハードウエアとOSを複数のユーザーで共有します(図1)。代表的な製品には、「Citrix XenApp」やWindows Serverの標準機能「Remote Desktop Services(旧Terminal Services)」などがあります。比較的高機能で高価なサーバーOSが必要ですが、1つのサーバーOSを複数のユーザーで共有するため、運用管理コストの削減率と集約率を高めることができます。

図1●ターミナルサービス方式の構成
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 半面、1つのサーバーOSを複数のユーザーで共有するため、アプリケーションの利便性が低下する場合があります。例えば、サーバーOS上で動作することを想定していないアプリケーションは正しく動作しない可能性があります。また、同一種類で複数のプロセスを起動できないアプリケーションを利用する場合は、ターミナルサービス方式を採用できません。

 このため、コールセンターなどの複数のユーザーが同じような定型業務を行う業態の方が、ターミナルサービス方式のメリットを享受できます。

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