田中 麻衣=NTTデータ経営研究所 公共行政コンサルティングユニット シニアコンサルタント

 財政状況が厳しさを増す中で、自治体では情報システム経費のいっそうの削減とともに、システム調達での透明性・公平性・競争性を確保するために、抜本的な改革の必要性が高まっています。

 2014年(平成26年)3月には、総務省が「電子自治体の取り組みを加速するための10の指針」を公表し、自治体クラウドへの移行によるシステム効率化を加速させようとしています。実際に自治体では、行政コスト削減にともなうIT予算の圧縮に加えて、職員による開発・運用負担の増大などを背景に、これまでのシステムの単独利用から共同利用へとかじを切る動きが目立ってきました。複数の自治体によるシステムの共同調達の事例は今後も増えていくでしょう。

従来の調達では単独利用型の随意契約が主流

 これまで自治体の情報システムでは、各団体が独自に開発・運用することを前提に、業務ごとにシステムを構築・運用する形態が主流でした。しかしシステムの仕様が、最初にシステム構築を受注した特定ベンダーに依存してしまうことで、その後は随意契約が続き、結果としてシステム関係経費が高止まりしてしまうという課題が顕在化してきました。

 また、業務ごとに個別にシステムを調達してきたために、自治体内でもシステム間の連携(業務処理の連携、データ共有)に支障を来し、業務効率の向上効果を引き出しにくいなどの課題も指摘されてきました。

 安値落札や特定ベンダーの寡占など、情報システムの調達に関する課題に対処するため、政府は「情報システムに関する政府調達制度の見直しについて」(2002年3月、2004年3月改定 情報システムに係る政府調達府省連絡会議了承)や、「情報システムの調達に係る総合評価落札方式の標準ガイド」(2002年7月 調達関係省庁申し合わせ)を定めてきました。さらに、「情報システムに係る政府調達の基本指針」(2007年3月)や、自治体向けの「新電子自治体推進指針」(2007年3月)では、質が高く低廉な情報システムを効果的に調達するための方法を推奨してきました。

 各自治体でも、システムの最適化と調達の適正化のために、次のような取り組みを推進しています。

  • 総合評価落札方式一般競争入札の拡大
  • 地場企業を振興するための優先的発注のルール化
  • 発注案件の小口化・分割調達などの工夫
  • 開発とその後の運用保守も含めた複数年に渡るトータルコストの評価
  • 複数年契約、SLA(サービス品質保証契約)の導入
  • システムのオープン化
     また、調達の適正化に向けた間接的な取り組みとして、
  • 調達ガイドラインやマニュアルの作成による組織全体の調達プロセスの透明化
  • 自治体内の情報システムを統括する部署の創設
  • システムの専門知識に長けた民間人の登用・活用
  • 組織内の情報システムや情報の戦略全体を統括する情報化推進CIOの設置
  • も進めてきました。

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