電力系の地域通信事業者である九州通信ネットワーク(QTNet)は、FTTHサービス「BBIQ」を主力として右肩上がりの成長を続けている。最近ではMVNO(仮想移動体通信事業者)として格安スマホを提供するなどモバイルにも進出している。現在の状況と今後の戦略を岩崎社長に聞いた。

現在の経営状況やサービス実績について教えてほしい。

岩﨑 和人 Kazuto Iwasaki
1954年生まれ。福岡県出身(宮崎県生まれ)。九州大学大学院工学研究科情報工学専攻課程修了後、1981年4月に九州電力入社。1990~1994年にQTNetへ出向するなど主に情報通信部門を歩む。2010年6月に電子通信部長、2011年7月に情報通信本部部長、2014年6月に執行役員情報通信本部長。2016年6月、代表取締役社長に就任(現職)。趣味は囲碁(6段)と将棋(5段)。公益財団法人日本棋院の理事を務める。

 2016年度の決算は増収減益だった。増収は10期連続。売り上げに占める個人向け事業と法人向け事業の割合はほぼ半々で、法人が若干多い。総じて伸びている。

 個人向けでは、主力のFTTH(Fiber to the Home)サービス「BBIQ」(ビビック)が好調だ。回線数は右肩上がりで伸びており、直近では37万回線に届いた。

 一方、法人向けサービスの既存顧客は約600社。自治体や金融機関、あるいは警察など、地元では名の通った企業が多い。主力は広域イーサネット(VLAN)などをはじめとする回線ビジネスだが、それ以外のソリューションビジネスも徐々に増えてきている。この4月に法人向けサービスの新ブランド「QT PRO」を立ち上げた。多様化する顧客のニーズそれぞれに最適なネットワークとソリューションを提供したいという思いを込めた。いわゆるIoT(Internet of Things)向けのネットワーク/ソリューションもここに含まれる。

FTTHが好調な理由は。

 九州エリアにおけるFTTHの普及率はまだまだ低い。東京と比べると10ポイント程度の差がある。その差が潜在需要であり、当社と競合他社が新規を獲り合っている。

 当社のサービスを選んでもらっている理由は、顧客満足度の高さにある。調査会社のJ.D. パワー アジア・パシフィックによる固定ブロードバンド回線サービスの顧客満足度調査では、3年連続でNo.1を受賞した。ただしこの評価に甘んずることなく、今後とも通信品質やコールセンター対応などのあらゆる指標を高めていく。コールセンターには厳しい意見が寄せられることもある。これらを毎週月曜日、社長の私を含めて責任者がレビューし、顧客対応の改善につなげようと努めている。

サービスのメニューやエリアを拡大する計画はあるか。

 例えば、映像伝送サービスの未提供エリアでそのサービスを始めれば、新規が増えて解約が減ることはまず確実。また、NTT西日本しかサービスを提供していないエリアの自治体からは当社にもリクエストが来ており、もし出ていけばそれなりの数は積み上がる。こうしたメニューやエリアの拡大は投資見合いで判断する。その結果を踏まえて、半期ごとに計画をチューニングしている。ただ現状で収益は拡大を続けており、利益も出ていることから、当面は今のペースを守っていく。

NTT西日本が「光コラボレーション」を始めて約1年半がたった。その影響は。

 今のところ、思ったほど影響は出ていない。影響が出るとすれば、これからではないか。異業種による新サービスも、格安スマホのように認知度が上がってくれば、「中身はNTTだから安心」と評価されるようになるかもしれない。そうなると新規が厳しくなるとみている。

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