NTTドコモは新料金プランの投入で2014年度に大幅な減益を記録したものの、2015年度はコスト削減や新領域の拡大などで、見事な“V字回復”を遂げた。2016年度も好調を維持し、2017年度の中期目標を1年前倒しで達成する計画だ。2016年6月に就任した吉澤和弘社長に、今後の戦略を聞いた。

社長就任会見では、「パートナー企業から様々なアイデアを受け入れてイノベーションを生み出す会社にしていきたい」とした。パートナー企業が組みたいと思えるようなNTTドコモの強みとは何か。

吉澤 和弘 Kazuhiro Yoshizawa
1955年生まれ。群馬県出身。1979年に岩手大学工学部を卒業し、日本電信電話公社(現NTT)に入社。NTTドコモ(旧エヌ・ティ・ティ移動通信網時代を含む)では世界初となるショルダーフォン(TZ-802A)の開発に従事し、資材部や経営企画部、人事育成部などの担当部長を務めた。2007年6月に執行役員第二法人営業部長に就任。2011年6月に取締役執行役員人事部長、2012年6月に取締役常務執行役員経営企画部長を経て、2014年6月に代表取締役副社長。2016年6月に代表取締役社長(現職)。趣味はサッカーとジョギング。

 当社は契約数で7000万件規模の顧客基盤を抱え、多くのパートナー企業に魅力と感じてもらっている。認証を含め、課金・請求のプラットフォームがあるので、パートナー企業は名前や住所、決済手段などを取得、管理しなくて済む。メッセージ配信も様々な仕組みを用意してあり、我々からパートナー企業に送客しやすい。ローソンや日本マクドナルドなども参加する共通ポイントも導入した。もちろん、電波のエリアをはじめとしたネットワークも大きな強みとなる。当社としては、これらのアセットをパートナー企業にどんどん使ってもらいたいと考えている。一方、我々が様々な分野に進もうと思っても知識や経験が足りないことがあり、そういった局面では知恵をお借りしたい。

今後は上位レイヤーの付加価値サービスで成長を目指していくことになるが、通信事業に比べて利益率が低い。

 まさにそう言われ続けてきたが、スマートライフ領域の利益率は着実に上がってきている。2016年度はスマートライフ領域で1200億円の営業利益を目標としており、利益率は10%近くになりそうだ。通信事業に比べてまだ低いが、目指す方向性は間違っていないと考えている。

スマートライフ領域は利益率をさらに高めていくのか。

 スマートライフ領域でもサービスごとに損益分岐点が異なり、良いものもあれば悪いものもある。デジタルコンテンツは配信プラットフォームに初期投資がかかるが、契約数が一定数を超えると利益が出てくる。損益分岐点の見極めが重要となるため、個々のサービスごとに収支を細かく管理している。のべつまくなしに広げるつもりはないが、既存サービスの強化と事業領域の拡大を並行して進め、全体の利益率を少しずつ上げていきたい。

長期的に見ると、通信事業収入は大きな伸びを期待できそうにない。

 確かに大きな伸びは望めないだろう。料金の値下げに対する要望も強い。ただ、音声やデータの通信事業収入の絶対額はある程度下げ止まった。今後は少しでも上げていきたい。最近では新料金プランによる音声定額の効果が出てきたほか、月々サポート(端末購入補助)の影響も軽くなりつつある。ARPU(契約当たり月間平均収入)は着実に向上しており、しっかりと伸ばしていきたい。

通信事業収入の大きな伸びを期待できない中、5G(第5世代移動通信システム)の設備投資はどう賄っていくのか。

 5Gでデータ通信量はかなり増えるが、それに応じて通信料金を上げられるかというとそうはならない。パケット単価は下げざるを得ないだろう。ただ、設備投資の問題は3Gや4Gの導入時も指摘されたが、なんとか乗り越えてきた。基本的には設備投資をどれだけ効率化できるか。サービスやコンテンツを充実させたり品質を高めたりして一定の収入を確保できる状況を作りつつ、ネットワークの効率化を図っていきたい。

となると、やはりスマートライフ領域の成長が重要となるが、どこまで伸ばせそうか。

 中期経営計画は完全に決めていないが、取扱高を指標に見ていきたいと考えている。現在は3兆円規模の取扱高を、通信事業収入(2015年度で約3兆7000億円)と同程度にしたい。詳しくは中期経営計画の発表まで待ってもらいたい。

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