MVNO(仮想移動体通信事業者)サービス「U-mobile」を展開するU-NEXTは、ヤマダ電機との合弁会社設立や、ソフトバンク系SIMの先行販売など、競合他社とは一線を画した戦略を打ち出している。宇野康秀社長に通信事業の今後を聞いた。

イオンが格安スマホを発売してから3年が経過した。現在のMVNO(仮想移動体通信事業者)市場をどう見ているか。

宇野 康秀 Yasuhide Uno
1963年生まれ。1988年4月、リクルートコスモス(現コスモスイニシア)入社。1989年6月にインテリジェンスを設立、同社の代表取締役社長に就任。1998年7月、大阪有線放送社(現USEN)の代表取締役社長に就任。2000年7月にユーズコミュニケーションズ(現アルテリア・ネットワークス)を設立し、同社の代表取締役社長に就任。2010年7月にU-NEXTの代表取締役社長に就任(現任)。2014年3月、USEN取締役会長に就任(現任)。趣味はトライアスロン、登山。

 3年前からするとMVNO市場は随分と拡大し、世間の理解も進んだ。なかなか爆発的な伸びにならないという、もどかしさはあるものの、これからも市場成長は続くだろう。市場が伸びていく中で、一定のシェアを維持して存在感を出していければ、十分にビジネスとして成り立つ。

 ただし、勝ち組・負け組が出始めるなど、競争は激しくなる一方だ。物量や体力がものをいう真っ向勝負では消耗戦になる。

 当社は今後、USENとの再統合を控えており、グループ全体としての総合力を高めていく。その中でサービスやマーケティングの独自戦略を打ち出す。

独自戦略とは具体的には何か。

 映像配信サービスの「U-NEXT」と、格安スマホのMVNOサービスである「U-mobile」との融合だ。サービスだけでなく、マーケティングチャネルも一つにして両サービスの顧客を獲得していく。このアイデアは以前から温めていたが、管理システムや組織が別々だったことが実現を阻んでいた。

 そこでこの6月1日に組織改編を実施した。これまで当社の通信関連事業は、モバイルのU-mobileと、固定のFTTH(Fiber To The Home)サービスの「U-NEXT光」で分けていた。それを今回の組織改変でくくり直し、BtoBとBtoCに分けた。そのうえで、MVNOのコンシューマー向けサービスと映像サービスを完全に合体させた組織とした。これでゼロレーティングなどの様々な仕組みをしっかり作り、サービスの融合を加速度的に進めていきたい。

ところで直近の2017年1~3月期はU-mobileのポストペイド(月額課金)の契約回線数が純減となっている。

 確かにこの第1四半期はやや獲得数を減らした。これは採算を度外視したようなアクセルの踏み方を今年からやめたことによる。これから映像サービスとMVNOサービスのマーケティングを共通化することでコスト効率が高まり、獲得ペースが一気に高まるはず。今はそこに向けた準備段階、いわば踊り場と位置付けている。

MVNOの競合他社は今が盛りとばかりに集中攻勢をかけている。

 携帯大手3社の売り上げは相当に大きいので、そこから一定の割合で利用者がMVNO市場に流れ込んでくる限り、今後も市場は伸び続けると見ている。今無理やり契約を獲得したとして、そこから得られる収益よりも、獲得コストが上回ってしまうと、事業としてはマイナスになる。きちんと採算を合わせながら、確実に伸ばしていくべきビジネスと考えている。

MVNO事業だけを切り出した場合の黒字化の見通しは。

 今はおおよそ黒字化が見えてきた段階。単月ベースではもう間もなくという状況だ。年度についてはまだ折り返し地点なので何とも言えない。

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