ファイアウオール開発の米フォーティネットを率いるケン・ジーCEO(最高経営責任者)によれば、米国では大企業を中心に、ファイアウオールの新たな利用形態「インターナル・セグメンテーション・ファイアウオール(ISFW)」の需要が高まっているという。これにより、同社の直近の大企業向け売上高は、前年比でほぼ倍に成長した。

 ISFWとは、社内ネットワークとインターネットとの接点ではなく、社内ネットワークの中、例えば社内ネットワークとサーバーの間に設置するファイアウオールを指す。なぜ今、米国でこの新市場が急浮上しているのか。ケン・ジーCEOに聞いた。

(聞き手は浅川 直輝=日経コンピュータ


社内ネットワークとインターネットの接点だけでなく、社内ネットワークの内部にもファイアウオールが必要なのはなぜか。Active Directoryやログ監視といった従来の社内ネットワーク管理では不十分なのか。

写真●米フォーティネット 創業者 会長兼CEO(最高経営責任者)のケン・ジー氏
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 今や社内ネットワークには、社員のスマートフォンなど様々なデバイスが、伝統的なファイアウオールを介さずに接続されている。サイバー攻撃で不正侵入された場合、社内ネット全体が危険にさらされる。小売り大手の米ターゲットへのサイバー攻撃でも、攻撃者は伝統的なファイアウオールを経由せずに社内ネットワークに侵入している。

 このため、財務情報や技術情報などの機密データを含むサーバーと社内ネットワークの間も、ファイアウオールで保護する必要がある。

 社内ネットワークの内部にファイアウオールを設置するには、IPアドレスの構成やネットワーク設定を変える必要のない、サーバーにとって透過的なファイアウオールを設置する必要がある。そこで我々の製品については、社内ネットワークの設定を変えずに数秒でデプロイできるようにした。

 社内ネットワークは、インターネット接続と比べて10~100倍は高速なので、これを妨げない高速性も重要だ。さらにISFWには、ネットワーク上の不自然な活動やトラフィック分析について、自動的にレポートを出力できる機能が求められる。

なぜこのタイミングで、米国でISFWの市場が伸びてきたのか。

 いくつか理由がある。サイバー攻撃が激化していることに加え、顧客企業がBYODで社内ネットにモバイルデバイスを持ち込めるようになり、社内ネットワーク保護へのニーズが高まった。さらに、ハードウエアの進化で10~100倍の速度に対応したファイアウオールを開発できたことも理由の一つだ。

 ISFWの需要は、今後も伸びるだろう。近い将来、伝統的なファイアウオールよりもISFWの方が、大企業向け市場における規模は大きくなりそうだ。