2年前、ある経営者が表舞台から姿を消した。ケンコーコム創業者、後藤玄利氏。2014年8月下旬に突然、辞任の意向を発表した後藤氏に対し、国内のEC(電子商取引)業界に惜しむ声が広がった。一般用医薬品のインターネット販売規制で国を相手に裁判を起こし、最高裁で勝利を収めるなど、相手が国であろうとも自身の信じる道を突き進む、文字通りEC業界のパイオニアだったからだ(関連記事:【独占独白】ケンコーコムの後藤社長、楽天との乖離を語る)。

 「僕自身、もう一度、何かができる年齢だ。閉塞感を打破するために何かもう一度トライしたい」。こう残して去った後藤氏が、再び表舞台に戻ってきた。次の挑戦について、話を聞いた。

(聞き手は原 隆=日経FinTech


ケンコーコム創業者の後藤玄利氏。2014年8月に突如退任を発表。その後、2年間の充電期間を経て新たなチャレンジを始める
(写真:稲垣 純也、以下同)
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新たなチャレンジを始めた。

 ジャクールという会社を2016年10月7日に立ち上げた。日本を訪れる外国人観光客が増えている中で、政府は2020年に4000万人を目指すとしている。こうしたなかで、日本語の多言語化が遅れている。外国人にとって不自由で不便な状況が続いている。ジャクールは海外からの旅行客向けにモバイル翻訳サービスを提供する会社だ。日本語しか書かれていない環境に掲載されているQRコードをモバイルでスキャンすると、自国の言葉で翻訳されるサービスを作っていく。

 ほぼ同時期の2016年10月3日に、一般社団法人タグフィットを立ち上げた。こちらは非営利組織で、海外旅行者のためにQRコードを配布していく組織だ。外国人旅行者が困る文字情報すべてに対してQRコードを発行する。レストランのメニューもあれば、空港やタクシーの案内、美術館や博物館の説明文など様々なシーンがあるだろう。こうした需要に対して、原則無償で翻訳サービスなどを提供する。

 日本語情報の翻訳を希望する人が写真を撮影してアップロードするとQRコードが返ってくる。翻訳するためには画像に書かれている日本語を特定しなくてはならない。テキストに落としてデータベース化する作業が発生する。ここにコストがかかるが、ここを様々な自治体やNPOにご協力いただき、エコシステムを形成していきたいと考えている。

 来年の早い時期に両方で試験的なサービスを立ち上げる予定だ。

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