運用管理ソフト大手の米BMCソフトウェアで、2014年4月にワールドワイドの営業とマーケティングの総責任者に就任したポール・アップルビー氏が来日。同社が進める新事業戦略「Living IT」や、日本市場における戦略などについて聞いた。

(聞き手は井原 敏宏=日経コンピュータ


写真●米BMCソフトウェア 上級副社長 ワールドワイドセールス&マーケティング総責任者のポール・アップルビー氏(右)と、日本法人の須崎弘一郎社長
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Living ITの狙いとは何か?

 Living ITのコンセプトは、革新的なサービス開発を実現するには、旧来の資産を含めたITインフラの効率化が欠かせないというものだ。グローバル市場の一つの動きとして、ITのコンシューマライゼーションがある。例えばiPhoneなどのモバイル機器でインターネットバンキングをするなど、操作性に優れた魅力的なデジタルサービスが増えている。

 革新的なITサービスを実現するには、それを支えるインフラの効率化が欠かせない。インターネットバンキングのモバイルアプリの場合、コアバンキングシステムや財務管理システムなどは、まだメインフレームで稼働していることも多い。

 我々はメインフレーム向けからモバイル向けに至るまで、幅広い製品群を持っている。これらの製品群の使い勝手や導入のしやすさを向上することで、顧客のITインフラの効率化を進め、革新的なサービス開発を支援する。これがLiving ITで我々が目指すことだ。

日本市場の動向をどう見るか。ビジネスを成功させるために重視する点は?

 クラウドが劇的に伸びており、様々なデジタルサービスがクラウドで実現されている。これは世界の他の地域と似た動きで、我々がビジネスを伸ばす大きなチャンスがあると考えている。

 具体的な額は言えないが、今後日本への投資を2倍以上増やす計画だ。人員の増強やマーケティングへの投資はもちろん、ソフトウエアや関連マニュアルなど各種文書の日本語化にも注力する。セールスフォース・ドットコムに代表されるパートナー企業とのエコシステムの強化も重要だ。

 日本市場で受け入れられ、日本のパートナー企業と良い関係を築くためには、優秀な上位管理職を迎えることが欠かせないと考えた。そこで2015年2月、日本法人の社長に日本人を起用した(前任のマイク・アルフォード氏に代わり、須崎弘一郎氏が就任)。

日本での製品の販売状況や、今後の製品展開について教えてほしい。

 セールスフォース・ドットコムが提供するPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)の「Force.com」で稼働する、IT部門のヘルプデスク業務を中心とした運用管理サービス「Remedyforce」が好調だ。1年前と比べて日本での売り上げは2.5倍伸びている。

 今後は革新的なITソリューションの開発に数億ドル単位で投資する。同時に同じ規模の投資を既存インフラを効率良く管理するツールの開発にも投入していく。

 インフラの運用効率を高めるうえでは、ビッグデータとリアルタイムでの運用環境の解析が不可欠だ。そこで、ビッグデータや現在の運用環境から、インフラの障害の根本原因を素早く突き止めるための解析ツール「TrueSight IT Data Analytics」に注力している。時期は未定だが、日本での発売も予定している。