佐賀県教育委員会は全県立高等学校において、2014年4月入学の1年生から1人1台のWindowsタブレットを活用した学習を開始した。県立高校へ入学するに当たり、生徒は県教育委員会が指定した仕様のタブレットを購入する必要がある。佐賀県教育委員会 副教育長の福田孝義氏に、2014年度の成果と、2015年度以降の展開を聞いた。

(聞き手は羽野 三千世=日経コンピュータ


2014年度は県立高校1年生の学習にWindowsタブレットを導入した。その成果を教えてほしい。

写真●佐賀県教育委員会 副教育長の福田孝義氏
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 教育の世界で“成果”は短期間で測れるものではないが、タブレットの利用によって「授業が分かりやすくなった」という“効果”は数値として出ている。

 2014年度の全県立高校へのタブレット導入に至るまでに、2011年度から、中高一貫教育校の県立中学や、一部の県立高校でタブレット端末を試験導入し、検証を重ねてきた。2011年度から2014年度までの4年間、我々が指標としてきたのは、(1)教師がICT機器を使った授業ができること、(2)ICT機器を使うことで生徒にとって授業が分かりやすくなること、この2点だ。

 2点の指標について、それぞれ満足する数値が出ている。

 4年間で、高校教師のほぼ全員が、自分の授業でICT機器を使うことができるようになった。“ほぼ”というのは、年度ごとに新採用教師が入るなどの人事異動があるためで、学校によっては100%、全体では90%以上で達成できている。

 生徒の授業の理解度については、「生徒の80%が授業を分かっていること」を目標とした。100%の生徒が授業を理解できるのが理想ではあるが、高等学校ではそうはいかない。我々の感覚では、高校において、授業をよく分かっているのはクラスの生徒の1/3、テーマによってはよく分かっている生徒が1/3、授業についてくるのが厳しい生徒が1/3だ。クラスの半数の生徒が分かっていれば、授業は成立する。ICT機器の活用によって、授業が分かっている生徒を50%から80%に高めることを目標としたが、4年間でこの数値は達成できた。

2015年度以降のタブレット導入の展開は。

 佐賀県でのタブレット導入は、10年に1回の学習指導要領改訂に沿う形でスケジュールしている。

 2012年度に中学校の学習指導要領が一斉改訂されたのに合わせて、全県立中学にタブレット端末を導入した。高校では、2013年度に1年生、2014年度に2年生、2015年度に3年生というように段階的に学習指導要領改訂が行われる。当初、これに合わせて2013年度から高校1年生の学習にタブレットを導入する予定だったが、タブレットの機種選定が長引いたために2014年度からのスタートになった。

 2015年4月入学の1年生に対しても、我々が指定する仕様の学習用パソコンを購入してもらい、授業で利用する。2015年度で指定した端末の仕様は、2014年度と全く同じで、Windows 8.1 Proを搭載するキーボード着脱式のパソコン、つまりWindowsタブレットだ。この仕様を満たす端末なら何でもよいが、国語・古語・英和の辞書ソフトやMicrosoft Officeのインストールも条件としている。学校で共同購入できる富士通製のWindowsタブレット(「ARROWS Tab Q584/H」)は必要ソフトをプリインストールした上で、ボリュームディスカウント価格で提供するので、この機種を購入するのが最も安価な選択だ。2014年度の1年生は全員富士通製Windowsタブレットを購入した。

 指定する端末の仕様は、毎年検証していく。年度中に課題が表出した場合は、次年度にOSも端末の形状も見直す。

2015年度以降の、タブレット導入による成果指標を教えてほしい。

 2015年度以降は、「生徒が学校生活に満足できているか」という点を指標にしていきたい。具体的には、大学受験、入社試験を見据えて授業の満足度を測っていく。ICT機器を使うことで授業が分かりやすくなるだけでなく、進学率や就職率の向上といった結果につながっているのか、そういう観点だ。

 ICT教育だけで進学率や就職率が上がるとは考えていないが、情報活用のスキルがあれば就職に有利に働くだろうし、受験勉強も省力化できる。