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IBM Research、イノベーションに向けて自らを変革(後)

2019/03/14

George Nott Computerworld Australia

 米IBMの研究開発部門IBM Researchは、産業界の研究機関としては世界最大だ。その歴史は1945年までさかのぼる。Thomas J. Watson Sr氏が、純粋な科学研究を手がける研究所をIBMに設置したのが始まりだ。これまでの発明の成果には、ハードディスクドライブ、ATM、スマートフォン、ポータブルコンピューター、磁気ストライプカード、リレーショナルデータベース、レーザー眼科手術の基盤技術などがある。

前回から続く)

オープンな姿勢

Credit: Stephen Lawson/IDG

 研究成果の共有という面でも、近年のIBM Researchは発想を変えた。

 「最初の頃は、特許はコスト削減かライセンス供与のどちらかのためという考え方だった」とvon Kaenel氏は言う。ちなみに同氏は、後に妻となる女性を追ってIBMのチューリッヒ研究所にインターンとして入り、そこで博士号を取得した。

 「我々はコミュニティとして進化を遂げた。遅ればせながら、エコシステムの重要性を理解した。あらゆる市場を100%手中に収めることはできない。そこで例えば、オープンソースへの寄贈といった形で特許を生かす。当該分野にIBMだけが関与する場合よりも、大きなエコシステムを確実に発展させられる」

 さらに同氏は付け加える。「初めの頃のような閉じた環境ばかりではなく、我々が手がける分野のコミュニティに向けて物事を常にオープンにすることも組み合わせている」

 特許前の研究についても同じことが言える。近隣の大学や専門家ともつながりができた。これは医療の研究では特に重要だとMareels氏は言う。

 「外部とのコラボレーションの始まりだ。当研究所の研究者には医師がいないが、外部の医師や医療関係者と協力して、研究の助言を受け、パートナーシップを形成する」

 「必然的なパートナーとして、アイデアを話し合ったりぶつけてみたりする。我々が出すアイデアには、芽が出そうにないものも多く、医療的な妥当性に関してパートナーたちの賛同は得られない。その場合、我々はその方向は目指さないことになる」

 IBMは、10月に開設されたオーストラリア研究会議(ARC:Australian Research Council)のTraining Centre in Cognitive Computing for Medical Technologiesの中心的なパートナーでもある。

 「バランスが必要だ。すなわち、科学界に我々のことを知ってもらうと共に、我々も科学界のことを知る。それには、我々も論文を書き、対話に参加する必要がある」

 世界全体で見ても、IBM Researchは従来よりはるかにオープンな組織になっている。2019年1月末には、100万枚の顔画像の注釈を収めたデータセットを公開した。公平なAIシステムの開発に向けて、コミュニティを支援するための動きだ。IBMのブログ記事には、「我々だけでは成しえないと思う」とある。

 「パートナーシップは必須だ。AIの世界では不可欠だ」とMareels氏は言う。

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