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AppleがCESに合わせて出した広告、その正確性を考える(後)

2019/01/31

Michael Simon Macworld

 米Appleは、出展していない「CES 2019」でその存在感を大いに見せつけた。ラスベガスの会場近くにあるMarriott系列のホテルSpringhill Suitesの壁面に、iPhoneのプライバシー機能を高らかにうたった巨大広告を出したからだ。広告には、「What happens on your iPhone, stays on your iPhone.(iPhoneで起きたことはiPhoneにとどまる)」と書かれていた。

前回から続く)

プライバシー保護

Credit: Daniel Masaoka

 GoogleアシスタントやAmazon Alexaなど、デジタルアシスタントがメインストリームに躍り出る中、プライバシーは現在特に関心の的だ。Appleは、初のスマートスピーカー「HomePod」を発売した後も、Siriが使うデータを明け渡すことはしないと主張している。Appleのサイトでは、プライバシーについて説明したページに次のような言葉がある。「広告主をはじめとする組織に売るために、Appleがあなたの個人情報を集めることはありません。だから写真を撮る時も、Siriに質問をする時も、行き方を調べる時も、あなたはその機能を信頼して利用できます」

 Siriを呼び出して何かを命じた時に、その情報は端末の外には漏れ出ない。Appleは、差分プライバシーなどの技術を使い、匿名化やランダム化を加えることにより、誰のデータかを知ることなくデータを分析できるようにしている。GoogleやAmazonの場合、たとえ本体の物理ボタンでマイクをオフにできようとも、同じような約束はできない。だが、今回の巨大広告でAppleが話題にしたのは、SiriでもHomePodでもなく、iPhoneという製品全体だ。Appleがうたっているような厳重なプライバシーの実現には、それなりの取り組みが必要だ。

 iPhone上で動くAlexaやGoogleアシスタントに関して、今回の広告でうたっているのと同じプライバシーをAppleが約束することはそもそも無理だ。Googleの一連のアプリに関しても同じである。GoogleマップやGoogle検索など、GoogleのアプリやサービスをiPhoneで使うことを決めたユーザーは、Googleに追跡されてもよいと同意したことになる。現在、iPhone用のChromeには、「トラッキング拒否」の設定項目すらない。

 もちろん、Googleアカウントの設定まで分け入っていってプライバシーを強化したり、iPhone上のGoogleマップで位置情報サービスを無効にして追跡できないようにしたりという手はある。だが、そこは何ら本質ではない。どのスマートフォンでもできることだからだ。Appleの今回の広告は、ユーザーがiPhone上で行うことは一つ残らず内密に扱われる、という意味にも取れるが、実際はそうではない。iPhoneの標準アプリやサービスが個人データを万全に守るよう、Apple自身は立派な働きをしているにもかかわらずだ。

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