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ぬるま湯から引きずり出された先にあるITキャリア(中)

2016/10/05

Brian Watson CIO

 「私のオフィスに来てくれ。話がある」。米投資信託会社Vanguard GroupのJohn Marcante氏は、同社のJack Brennan会長(当時)から、そのようなメッセージを受け取った。2001年9月11日の同時多発テロ事件から数カ月後のことである。惨劇の直後ながら、この頃のMarcante氏は、仕事に関しては自らの夢を体現していた。

前回から続く)

 Marcante氏は、米GEでキャリアの第一歩を踏み出し、同社でITに関する複数の職務を7年間にわたって経験した後で、1993年にVanguardに転職した。両社は人材育成戦略でよく知られ、さまざまな分野を順に経験する管理者制度に優れていることは特に有名だ。Marcante氏は両社から大きな恩恵を受けた。特に、運命を変えたBrennan会長とのあの面談の後は顕著だった。

 徐々に難易度が増す任務や役職を通じて、優秀な幹部が鍛え上げられていくというのは、リーダーシップに詳しい専門家に広く見られる見解である。だがそれが現実となるためには、適切な企業文化や、支えとなる環境がなくてはならない。

 そして時には、伸び盛りの幹部に向けて、ひと押しが必要になることがある。それを与えたのがBrennan会長だった。

IT畑からビジネス畑へ

 Marcante氏は、それから約3年間にわたって、グローバル・テクノロジー・オペレーション担当責任者という役職を担い、成長していった。この仕事は楽ではなかったと同氏は振り返る。ソフトウエア開発とは別の分野ながら、例えばプロジェクト管理など、転用可能なスキルは活用した。そんな中、Marcante氏がふと気づいたのは、リーダーシップの汎用的なスキルが自らにとって大きなよりどころになっているということだった。例えば、説得力、影響力、交渉力、コミュニケーション力、関係構築力、概念的思考力などだ。こうしたスキルが、この新しい役職での仕事を支えていた。

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