合意した仕様通りにシステムを構築したにも関わらず、ユーザーに「思っていたのと違う」と突き返される。そんな失敗プロジェクトは枚挙にいとまがない。富士通の岡田一志氏(SI技術本部 技術戦略統括部)はその原因を「ユーザーの『価値基準』が抜け落ちてしまうからだ」と指摘する。

 ここでいう価値基準とは、ものごとの良しあしを判断する基準のこと。要求や仕様に鮮明に現れるとは限らない。むしろ暗黙になっていることが多い。要求や仕様の通りでも、価値基準に合わなければユーザーにダメ出しされるわけだ。

 「最近はデジタルビジネスの進展で、価値基準を理解するのが重要になっている」と岡田氏は話す。そこで岡田氏は、ユーザーの価値基準を可視化するための設計書を考案した。「価値基準定義書」と呼べるものだ。

価値基準定義書
(出所:富士通)

 そもそも価値基準は、長年の経験によって築かれるものだ。個別の要求や仕様と違って変化しにくいのが特徴である。価値基準が分かれば、システムで何を実現すべきかが見えてくる。「思っていたのと違う」という評価も減るはずだ。

7つの要素で価値基準を可視化

 価値基準定義書はどんな設計書なのか。価値基準定義書は大きく分けて、以下の7つの要素から成る。

(1)現状を端的に言うと…
(2)エネルギー源(原動力)
(3)価値観
(4)強み
(5)理想像
(6)理想と現実のギャップ・課題
(7)アクションプラン

 7つの要素は富士通研究所が考案したもので、岡田氏はさらに表現の工夫を加えて利用している。

 価値基準定義書の作成に当たっては、ユーザーに対して1時間半程度のインタビューを実施する。具体的には上で挙げた7要素に沿って、最初に現状を端的に言うと何かを聞き、次にどんなときに行動意欲が高まるのか(エネルギー源)、価値観、強みを聞く。その上で、将来の理想像を導き、現状とのギャップ・課題を整理。このギャップや課題と、価値観や強みの観点を踏まえて何をすべきかというアクションプランを聞き出す。

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