日立製作所が米General Electric(GE)のキーパーソンを“一本釣り”した。日立の米国IT子会社である日立ヴァンタラの製品戦略責任者に、GEの元幹部であるBrad Surak氏が就任したことが分かった。Surak氏は米GEのデジタル戦略部門である「GE Digital」でCOO(最高執行責任者)を務め、GEのIoT(インターネット・オブ・シングズ)戦略を推進する要職を務めていた。日立の狙いは、GEや米Microsoftなどから積極的に優れた人材を採用して、IoTプラットフォーム「Lumada」の世界展開を加速させることだ。

 Surak氏は2017年10月に日立ヴァンタラの製品戦略責任者(Chief Product&Strategy Officer)に就任した。同社は2017年9月に発足したIoTの事業会社。日立の米IT子会社である日立データシステムズ(HDS)とBI(ビジネスインテリジェンス)ツールの米Pentaho、Lumadaの開発チームである「Hitachi Insight Group」を統合した(写真1)。

写真1●2017年9月に米ラスベガスで開催した「Hitachi NEXT 2017」の模様
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 Surak氏は2012年に欧州SAPからGE Digitalに転じ、GEのインダストリアルIoTプラットフォームである「Predix」や、Predixを活用したアプリケーションである「Asset Performance Management」の開発などを指揮してきた。SAPやGE Digitalでの経験を通じて「プラットフォーム」の何たるかを熟知するSurak氏が、日立のIoTプラットフォームであるLumadaの製品戦略を率いていくことになる。

 日立が2016年5月に発表したLumadaは、産業機器に取り付けたセンサーが発するデータをインターネット経由で収集・蓄積し、ビッグデータ分析によって顧客の業務の生産性改善を支援するソフト群だ。Lumadaはもともとの方向性からしてGEのIoTプラットフォームPredixと似ていたが、GE DigitalのCOOだったSurak氏の参画によって、今後ますます相似形をたどりそうだ。

HDSの社内ベンチャーが開発したLumada

 そもそもLumadaはHDSが「社内ベンチャー」として開発を始めた製品だった。2015年にLumadaの開発プロジェクトを立ち上げたのは当時のCEO(最高経営責任者)だったJack Domme氏。Domme氏は従来のHDSでは生み出せないようなプロダクトを作るため、開発チームをHitachi Insight GroupとしてHDSから半ば独立させ、大きな裁量権を与えた。

 日立ヴァンタラでLumadaの開発を指揮するRich Rogers氏は「Lumadaの開発拠点はシリコンバレーだが、Microsoftや米Amazon.comから人材を採用するために、米シアトルにも開発拠点を設けている」とも明かす(写真2)。現在、LumadaのCTO(最高技術責任者)を務めるRob Tiffany氏がMicrosoftの出身だ。

写真2●日立ヴァンタラでLumadaの開発を指揮するRich Rogers氏
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 事業トップが他社から中核人材を招き、独立性の高いチームにIoT基盤を開発させる戦略は、GEがシリコンバレーにGE Digitalを設けてPredixを開発させた経緯と相通ずる。「我々はLumadaの開発のために、AmazonやMicrosoft、米IBM、米Salesforce.comなどからワールドクラスのエンジニアを集めている」。日立ヴァンタラのRogers氏はそう胸を張る。

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