米PMI(Project Management Institute)はプロジェクトマネジメントの知識体系「PMBOK(Project Management Body Of Knowledge)ガイド」の第6版を、日本語を含む12カ国語で2017年9月6日(米国時間)に発表した。日本語版の書籍販売は2017年10月を予定している。

 第6版では、ビジネスの視点を強化したのをはじめ、様々な内容を改訂した。以下で改訂のポイントを分析していくが、その前にPMBOKガイドの成り立ちや位置付けを簡単に紹介しておく。

 PMBOKガイドの第1版は1996年に登場した。同ガイドの前身である「PMBOK」(1987年発行)をPMIが大幅に改訂。その名称をPMBOKガイドに改めて発行した。日本では日本語版の第1版が1997年に登場すると、大企業を中心に徐々に広まっていった。当初は建設やエンジニアリングの企業の採用が先行したが、その後はエンタープライズ分野のIT企業の大半がPMBOKガイドを利用するようになった。今ではシステム開発現場のプロジェクトマネジメントの教科書というべき存在になっている。

 PMBOKガイドが世に出るまでのシステム開発は、エドワード・ヨードン氏が著書で記した「死の行進(デスマーチ)」と呼べる状況だった。プロジェクトマネジャーには厳しい運営を強いられていたわけだ。

 デスマーチと呼ばれる大きな要因は、いわゆる「QCD(品質・コスト・納期)」、とりわけ納期に注力したプロジェクト運営の結果、「人」の問題がおざなりになってしまったことである。「納期は死守して成果物を完成させたけれど、メンバーの健康が損なわれた」といった事態に陥りやすかった。これではプロジェクトが成功したとは言えない。

 PMBOKガイドはQCDだけに注力するのではなく、人を含めた全体最適のマネジメントを目指している。具体的には、統合、スコープ、スケジュール、コスト、品質、資源、コミュニケーション、リスク、調達、ステークホルダーという10の知識エリアを定義。QCDだけでなく、10の知識エリア全てをバランスよくマネジメントするように求めている。

PMBOKガイドはQCDだけではなく全体最適のマネジメントを求めている
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改訂のポイントは大きく2つ

 このような位置付けのPMBOKガイドはこれまで4年おきに改訂してきたが、今回の第6版は5年ぶりの改訂だった。1年遅れたのはパブリックコメントの意見を数多く取り入れたためだ。その分、各知識エリアの様々な点を拡充している。

各知識エリアの主な変更点
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 改訂のポイントは大きく2つある。1つはアジャイルや反復手法の取り込み、もう1つはビジネス視点の強化だ。背景には、ITを活用した新規ビジネスの企画・開発が盛んになってきたことがある。

 前者のアジャイルや反復手法については、特に欧米企業での主流を組み入れた形だ。新規ビジネスの企画・開発は一般に、ビジネス状況の変化に柔軟に追随することが求められる。変化への追随という点で、短期間で開発サイクルを回すアジャイル型の開発プロセスの導入が増えている。

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