世界は今、AIに代表される“知性革命”の時代を迎えようとしている。企業が持続的な成長を目指すには、その技術を活用した「デジタルトランスフォーメーション」を加速する必要がある。働き方改革はその手段だ。ただし、それが目的になってはいけない。働き方改革の先にあるもの、「働き方でどのようにビジネスを変革していくか」を考えなければ、取り組みは絵に描いた餅で終わる。

時間の使い方を分析して働き方の「質」を高める

 一口に働き方改革というが、捉え方でやるべきことは異なる。それを3つの切り口で考えてみたい。1つめは「時間の使い方」についてだ。日本マイクロソフトはAI技術を実装した「MyAnalytics」というソリューションを使って、仕事のプロセスを見直したり、社員一人ひとりのマインドチェンジに取り組んでいる。

 MyAnalyticsはその人の業務内容をもとに、今週の会議時間や残業時間は何時間で、メール時間はどれぐらいだったかなどを細かくレポートする。本当にその会議に出る必要があるのか、送付したメールの既読率が低いのはなぜか、長文のメールを数秒で閉じているが、本当に読んだのか、など実にいろいろな「気付き」を教えてくれる。

 人事、ファイナンス、マーケティング、営業の4部門41人を対象に4カ月間これを使って社内検証をしたところ、会議時間を27%削減できた。誰々と話していません、こうしたらいいですよ、という気付きによってコミュニケーションも円滑になった。そして何よりの収穫は、アイデアの創出やチャレンジに向けて考える時間が5割も増えたことだ。これを約2000人の全社員に適用すると、約7億円分の残業時間が削減できる計算だ。

人の認知・認識をサポートし、フィールドでの働き方を変える

 2つめは「現場での働き方」だ。仕事にはオフィスワークだけでなく、工場や倉庫でのフィールドワークもある。この領域に貢献するソリューションの1つが「Cognitive Services」である。

 クラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」に接続されたセンサーを各所に配置して、Azure上のAI機能で人の顔や物を認識したり、その動きを追跡できる。視覚、音声、言語、知識、検索など約30の人工知能パーツがあり、視覚パーツの誤認識率は4.9%と、人間の誤認識率の5.1%よりも精度が高い。音声パーツも人間と同レベルの認識率だ。

 これらを組み合わせれば、例えばドラム缶を倒したら、AIが何かがこぼれたことを認識し、その情報を担当者に送って、事故を未然に防ぐ。病院に導入すれば、患者の症状に合わせた運動管理や運動指導が可能になる。建設現場では必要な工具がどこにあるかを即座に把握し、作業の効率化につながる。

複合現実で共有・連携を図り、仕事の進め方を変革する

 そして3つめが「仕事の進め方」である。この有力なツールがゴーグル型ホログラフィックコンピューター「MicrosoftHoloLens」だ。現実と仮想空間を融合させたMixed Reality(複合現実)を実現する機器で、これをかぶるとセンサーが稼働して、部屋の奥行きや目の前にあるものを認識し、現実空間の中で仮想のモノを扱える。この空間情報は遠隔地のユーザーと共有することもできる。

 これを生かして画期的な取り組みを進めるのが、新潟県に本社を構える小柳建設だ。施工検査の効率化と事業トレーサビリティーの向上に向けたプロジェクト「Holostruction」を推進する。

 一方、テクノロジーの活用にあたって懸念されるのがセキュリティだ。マイクロソフトは世界で最もサイバー攻撃を受けている民間企業の1つだが、大きな事故は今まで起きていない。その技術、ノウハウ、知見を製品・サービスに惜しみなく注ぎ込んでいる。

 働き方改革は、いつでも・どこでも仕事ができる環境を整えるだけでなく、社員一人ひとりをもっとエンパワー(力を付ける)することが大切である。そうすることでワーク・ライフ・バランスが、ワーク・ライフ・チョイスへと発展していき、社員が伸び伸びと働けるようになり、組織力が高まっていく。

 最後に働き方改革のツールとして、1つのサービスを紹介したい。翻訳アプリ「Microsoft Translator」だ。英語、日本語、スペイン語、中国語など60以上の言語に対応し、最大100人、10カ国語のテキストや音声を同時に翻訳することが可能だ。無償で提供しており、PC、スマホ、タブレットで利用できる。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、訪日外国人向けの観光案内やツアーガイドのツールとしても使える。

 将来の成長戦略や競争戦略を推進するうえで、デジタルトランスフォーメーションは欠かせない要素だ。ビジネス変革につなげるため、マイクロソフトは最新のテクノロジーを使った製品・サービスの提供を通じ、社員一人ひとりをエンパワーする働き方を支援していきたい。

出典:日経コンピュータ 特別レポート版
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