UberやAirbnbに代表される破壊的イノベーションが、社会やビジネスを変えつつある。Uberの価値は、ドライバーと乗客とのマッチングだけではない。料金はクレジットカード払いで、支払った後にはメールで領収書が送られてくる。目的地はあらかじめインプットできるので、海外出張などの際に会話で苦労することもない。一方のAirbnbは宿泊場所だけでなく、地域の暮らし体験を提供して、多くのユーザーに喜ばれている。

 両社に共通するのは、新しい顧客体験の実現だ。この2 社に限らず世界中の多くの企業が顧客体験の革新によるイノベーションを目指している。もちろん、日本企業も例外ではない。

“Why”から出発して“How”“What”へと至る成功の道

 なぜ、顧客体験が注目されるのだろうか。背景にあるのは、ユーザーの体験そのものが変化していることだ。ある自動車メーカーの調査によると、顧客がクルマを購入する際、5年前は平均7.5回ディーラーに足を運んでいたという。最近はわずか1.5回。Webサイトなどでクルマを比較検討しているので、ディーラー訪問時に購入車種などはほぼ決まっているのである。

 顧客の行動が変化する中で、顧客の求める体験と企業が提供してきた既存ビジネスプロセスとの間にギャップが生じている。ギャップを埋めて顧客に寄り添った企業は、大きなチャンスを手にすることができるだろう。そのための手段がデジタルである。デジタルを活用した新しい顧客体験づくりに、多くの企業が取り組んでいる。セールスフォース・ドットコムはこうしたチャレンジにパートナーとして伴走し、新たな価値創造を支援している。

デジタル変革を支援するSalesforce“ignite”プログラム

 セールスフォース・ドットコムはITサービスの提供にとどまらず、お客様と議論を重ねることで新たな価値づくりをサポートしている。代表的な取り組みが、Salesforce“ignite”と呼ばれるデジタル変革の支援プログラムである。

 “ignite”はデザイン思考に基づくアプローチを採用している。人に焦点を当てゼロベースで発想することで、従来の延長上にはない商品やサービスの創出を目指す。“ignite”には「Discover」→「Dare」→「Do」という3つの段階がある。

 Discoverフェーズではお客様企業の経営層や現場、その企業の顧客へのインタビューなどを通じて、インサイトをあぶり出す。Dareのフェーズでは、ワークショップなどにより課題定義とアイデア出しを行う。そして、Doでプロトタイプをつくりだす。そして、プロトタイプを実践の場に適用し短いサイクルで修正や改善を繰り返しながら、ビジネス変革のゴールに近づいていくのである。

 “ignite”が2013年にスタートしてから、世界の100社以上のお客様と一緒に共創の取り組みを実施してきた。このうち、国内のお客様は10社超。

 セールスフォース・ドットコムは“ignite”を推進するため、世界で120人の専門家集団を擁している。ストラテジストやリサーチャー、デザイナーなど、従来のIT業界では珍しかった職種のプロフェッショナルが所属しており、お客様のデジタル変革をサポートしている。

独自AI「Einstein」を実装し新たな顧客体験を実現

 ここで、当社のテクノロジーとカスタマーサクセスプラットフォームについて説明したい。プラットフォームのベースにあるのはIoTデータやCRMなど多種多様なデータである。これらのデータ層の上には独自のAI「Einstein」を中核とするインテリジェンス層、様々なソフトウエア部品の組み立てを行う「Lightning」層、そして最上層にセールスやサービス、マーケティングといった領域ごとのビジネスアプリケーションが置かれている。

 お客様は当社が開発したアプリケーションはもちろん、当社パートナーの提供するものを含め、数千ものビジネスアプリケーションを活用することができる。以上の4層で構成されるITサービスプラットフォームは、環境変化に向き合うお客様のビジネス活動をサポートしている。

 当社のカスタマーサクセスプラットフォームは、毎年3回のバージョンアップを行う。Einsteinは今年の特筆すべきバージョンアップだ。機械学習とディープラーニング、自然言語処理、予測分析などをユーザーはボタンひとつで利用できる。

 Einsteinのメリットは、例えば「このお客様に対して、このようなアクションをとるべきではないか」「お客様からのこの問い合わせに対しては、このように対応すべきでしょう」といった提案が可能になる。これにより顧客満足度向上や売り上げアップにつなげることもできる。

 Einsteinをはじめとする新しいテクノロジーや、“ignite”などの活動を通じて、セールスフォース・ドットコムは今後もお客様における新たな顧客体験づくりとイノベーションを支え続けていく。

出典:日経コンピュータ 特別レポート版
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