突然のシステムダウン、システム刷新プロジェクトの失敗──。1981年の日経コンピュータ創刊号から2017年までにわたって「動かないコンピュータ」などに載せたトラブル実例は実に1098件。これらを分析して、トラブル防止につながる知見を得られないか。こう考え、セキュリティ関連、システムダウン、開発失敗というITトラブルの3大リスクを対象に様々な角度から調べてみた。すると、知られざる傾向と対策が見えてきた。

 セキュリティ事例分析(第1回第2回)とシステムダウン事例分析(第3回第4回)に続き、今回と次回はシステム開発失敗の分析を紹介する。

 システム開発を成功させるハードルは下がるどころか、上がっている。マルチベンダー化が進み、開発体制が複雑になっている事情が背景にある。ユーザー企業はIoT(インターネット・オブ・シングズ)の時代に向け要件定義やプロジェクト管理の能力を一段と磨く必要がある。

 システム開発が失敗する最大の原因は、要件定義の工程にある。456件におよぶ開発失敗、つまり開発の中止や稼働延期の事例分析から得られた事実だ。

開発失敗の最大要因は要件定義の不備
図●開発失敗の4大要因とその割合
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 2010年代の開発失敗を見ると、最大の原因はユーザー企業がシステムの要件をまとめられないことで27.3%、続いて「ベンダーが要件を理解できない」が24.2%だった。本誌が決めた分類方法に基づき集計した。

 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の「ユーザー企業ソフトウェアメトリックス調査2016」でも、工期遅延の最大の理由は「要求仕様の決定遅れ」で、479件のプロジェクトのうち44.1%(複数回答)が該当した。要件定義の成否が開発の命運を握るという結果は、本誌の分析とも一致する。

工期遅延の4割は要件定義に関連する
図●工期遅延理由の分類
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 開発失敗の主因が要件定義にあるのは予測がつくが、その割合が今も増加傾向にあるのはなぜだろうか。理由の1つに、パッケージソフトを選ぶ企業が増えていることがありそうだ。

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