2000年前後、PDA(パーソナル・デジタル・アシスタント)と呼ばれる機器が世界的に大きな流行になったことを覚えているだろうか。

 それ以前にもPDAはもちろんあった。PDAの元祖である米アップル(アップルコンピュータ)の「Newton」(1993年発売)をはじめとして、日本でも京セラの「Refalo」(1991年発売)、オムロンの「Massif」などが販売されていた。

 PDA的に一つの「山場」になったのは、1996年に発売された「Palm(PalmPilot)」シリーズだ。比較的安価で軽快に動作したPalmは、普及しながら「Palm III」「Palm V」と発展して、広く使われるに至った。

 当時もノートパソコンがあったものの、1日中使えるほどのバッテリー駆動時間はなかったし、一度スリープしたら復帰に時間がかかっていた。このため、PDAは、連絡先や予定を素早く確認、入力できる、PCの「コンパニオンデバイス」としての地位を得た。

 こうした背景から1999年から2001年という「世紀末」に、IT業界やエレクトロニクス業界にPDAブームが到来する。先のPalmやマイクロソフトのWindows CEデバイスのような一定の地位を築いた製品以外にも、この時期は数多くの独自PDAが登場した。当時のPalmシリーズの価格帯は、数百ドルだったため、それより安い100~200ドルのPDAが数多く出た。

 100ドル以下の製品も少なくなかった。ソフトウエアの追加が不可能で、住所録、予定表、ToDoリスト、メモの4つの機能を搭載した、「オーガナイザー(Organizer)と呼ばれるデバイスである。Organizerは、Palm以前にも電卓の高機能版として登場していたが、この時期のOrganizerは、PCとデータを同期できたことから、PDAとして扱われていたものもある。

 今回は、この時期に登場した数々のPDAの中から、読者のみなさんがあまりご存じでなさそうな「場末のPDA」を紹介する。いずれも筆者の所有物だが、16年以上前のデバイスであり、ディスプレイの表示が欠けている、タッチパネルが反応しない、そもそも全く起動できないといった状態のものもあった。

Royal

 当時、筆者は、米国に行くたびにPCショップや電気店を回っていた。Amazon.comなどのオンライン通販の影響がまだ小さく、そうした実店舗はあちこちにあった。安価なPDAは物珍しさもあってよく買っていたのだが、その中でも、Royalブランドの製品は結構な数になった。

 Royalは、タイプライターメーカーとして1904年に創業した企業だ。1950年~60年台には、Royal McBeeとしてコンピュータも製造していた。様々な会社買収を経て、1986年から2004年まで、Royalはイタリアのオリベッティの傘下にあった。

 2000年前後にRoyalは、毎年のようにPDAを製造していたが、中身が同じで外装や名称のみが異なる製品も多かった。安価な製品であるため、壁面に掛けて販売するブリスターパックのパッケージをよく見かけた。

 Royalは、Palmで使われていた「Palm OS」によく似たOSを搭載し、サードパーティによるソフト開発もできる本格的なPDAを製品化したものの、当時Palmを所有していた米スリーコム(3Com)から訴えられて販売を中止したことがある。

DaVinci DV2

 「Royal DaVinci」は、PCと同期可能で持ち運びできる折りたたみ式キーボードが付属するPDA。感圧式のタッチスクリーンを搭載しているが、本体正面にカーソルキーと側面に上下カーソルキー、OKキーも備えている。2.75インチ液晶はフルドットマトリックスで解像度は、140×130ドットだ。

DaVinci DV2にはクレードルと折りたたみ式のキーボードが付属する。
(撮影:塩田 紳二、以下同じ)
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DV2の画面上部は現在実行しているアプリのアイコンが表示される。また液晶の下もタッチパネルでアプリアイコン(黒地)とコマンドになっている。
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 電話帳、ToDo、メモ、予定表、電卓、世界時計付き時計、アラーム、記念日機能を持つ。付属のクレードルを使ってPCとシリアル通信(RS-232C)で同期可能だ。PC側ソフトは、Outlookなどとの同期機能がある。メモリーを2MB搭載。「Royal Glo」と呼ばれるバックライトがあるが非常に暗い。入力は、画面に表示されるタッチキー、または外付けキーボードから行う。バッテリーは、単四形電池2本。DaVinciシリーズには手書き認識機能があるDV3という機種もある。

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