デジタルガレージは2017年7月25日~26日、都内で自社イベント「THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2017 TOKYO」を開催した。その模様をお届けする本連載の第3回では、ブロックチェーンの未来について多面的に展望するセッションについてレポートする。

ビットコインは通貨ではなく株式に近い?

写真1●野村総合研究所(NRI)の崎村夏彦 上席研究員
(撮影:山西 英二、以下同)
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 「ブロックチェーンの登場によって、すべての人が貨幣発行者になれる民主的な世界がやってきた」。野村総合研究所(NRI)でプライバシー関連技術の国際標準化などに携わる崎村夏彦 上席研究員は、ブロックチェーンの真価をこう評する。

 ただ、価格が乱高下するビットコインは、ブロックチェーンを使った貨幣の交換手段としては質が低いとも分析する。その理由は、貨幣の供給量が決まっているために需要が伸びると価格が上がってしまい、弾力的な値付けが難しい点にあるという。「本来貨幣とは価格を安定させるために、供給量が自由自在に変えられることが求められるはずだ」と崎村氏。

 こうした問題提起をした崎村氏がモデレーター役を務める形で、続いてブロックチェーンの真価をテーマにパネルディスカッションが行われた。イーサリアムを使った分散アプリの構築を行っているWeTrust.ioのジョージ・リーCEO(最高経営責任者)兼共同創業者、電通で産官学の共創型ビジネスデザインを推進する大越いずみ レガシー事業推進室長、利用者参画によるサービスの構築や運用を研究する産業技術総合研究所の江渡浩一郎 主任研究員が登壇した。

 まず江渡氏は、人々の生活体験にブロックチェーンが与える影響について持論を述べた。「本質は、国家のの通貨発行権を民衆に取り戻すことが可能になったことではないか」。マイニング処理によって通貨を発行することは、ゼロから貨幣を生み出しているわけでなく、それによって国家の通貨発行権が減っているのではないかとみる。通貨としての総量は変わらず、結果として個人が通貨の発行権を国から少しずつ奪っている状態なのだという。

 大越氏も、江渡氏の意見に同調する。「個人がエンパワーメントする時代がきた。ブロックチェーンによって、中央主権型で運用していた通貨発行権がいわば個人にほうりだされた」とした。

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