米AMDはサーバー向け新型CPU「EPYC」を2017年6月20日に発表、同日より出荷を開始している。EPYCは、性能重視のサーバー向けとして演算コアの設計を一新した、AMDとしては久々に力の入ったCPUだ。AMDが、なぜ改めてサーバー市場に新製品を出したのか、これまでの経緯を含めて解説する。

AMDのEPYC
(出所:米AMD)
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一度は確保したシェアを失ってしまったAMD

 AMDにとってサーバー市場への進出は「悲願」でもあり、一度は市場の3割ほどのシェアを取ったこともある。なぜ悲願なのかといえば、それが非常に大きな売上になるからだ。これは競合である米インテルの数字からも明らかである。

 米インテルの2016年通期の売上は593.9億ドル。この売上を支える2大部門が、クライアントPC向けとなるCCG(クライアント・コンピューティング・グループ)とサーバー向けのDCG(データセンター・グループ)だ。その他の部門の売上はこの2大部門に比べると、ずっと少ない。CCGとDCGの2016年通期の業績は以下のようになっている。

CCGとDCGの2016年通期の業績
売上げ営業利益営業利益率
CCG329.1億ドル106.5億ドル32.4%
DCG172.4億ドル75.2億ドル43.6%

 絶対的な売上げはCCGの方がずっと大きいが、営業利益率はDCGがずっと良い。しかもサーバーの場合、一度システムが入ると、その後継システムなどへの刷新も期待できるので売上増につながりやすい。2017年5月に米AMDが開催した投資家向け説明会で同社のリサ・スーCEO(最高経営責任者)は、注力する市場としてサーバー市場を挙げていた。

今後のAMDがターゲットとする3つの市場。既に「Immersive」(没入型:据え置きゲーム機と一部ゲームPC)ではそれなりのシェアを握っており、新CPU「Ryzen」でPC市場でのシェア増加の足がかりを作った。次はデータセンターということだ。
(出所:米AMD)
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 2020年のサーバー市場は210億ドルの規模と予測されている。2016年の総売り上げが42.7億ドルでしかないAMDにとっては、例えば210億ドルの市場の10%を取っただけで売上が1.5倍になる。しかも利益率はPC向けよりずっと高いとあれば、当然狙うだろう。

かつては価格・電力・性能でインテルに対抗できていた

 元々AMDは、開発コード名「K7」のコアを1999年にAthlonとして投入したときからサーバー向けを考えていた。第2世代のAthlonではAthlon MPというデュアルプロセッサ構成に対応したCPUとチップセット「AMD-760MP」をリリースしたものの、このときは空振りに終わった。

 設計を一新した「K8」コアを発表したときは、デスクトップPC向けのAthlon 64に先んじて2003年4月にサーバー向けの「Opteron」を市場に投入している。Opteronは初めこそ売れ行きは鈍かったものの、徐々にシェアを獲得した。

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