日々の少しの睡眠不足が仕事のパフォーマンス劣化につながるとする「睡眠負債」が話題だ。実は人の命を預かる現場では早くから着目しているテーマであり、ここにもITが活用されつつある。

 JR西日本は全63拠点の7300人の運転士・車掌を対象に、睡眠時間や眠りの質を測定する仕組みを2018年3月までに本格導入することを計画中だ。富士通と共同で乗務員が睡眠センサーを着用する実証実験を2014年から段階的に実施してきた。乗務員の眠気に着目し、集中力を高めて事故などのトラブルを減らす狙いだ。

JR西日本が導入を計画している睡眠センサー
睡眠の状態を指数化、アドバイスも提示
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 睡眠センサーは活動量計を兼ねており、就寝/起床時刻、睡眠の深さや睡眠中の姿勢のほか、歩数と消費カロリーなどを記録する。職場のPC経由でデータを取り込むと、PCの画面上で「睡眠指数」と呼ぶ数値が表示される。各乗務員の睡眠状況に応じて、食事や生活スタイルを見直して睡眠改善を図るためのアドバイスも表示する。

 乗務員からは「アドバイスが分かりやすい」「仰向けやうつ伏せといった睡眠中の向きに加えて中途覚醒なども検知してくれるのは助かる」など好評という。「常時着用は乗務員に強制しにくいが、自分の健康を自分で管理しようと自覚する乗務員が増えるようにメリットを訴えていく」(JR西日本の込山哲也運転士課長)としている。

 同社は2009年ごろから全社で睡眠改善に取り組んでおり、睡眠のガイドラインを発行したり各部署で「睡眠改善リーダー」を任命してりしてきた。各乗務員は「睡眠日誌」を記入していて、今回の睡眠センサーは睡眠日誌の代わりにITで記録を取るものだ。

 働き方改革と相まって睡眠負債を返済する動きも進みそうだ。