埼玉県入間市は認知症の高齢者の徘徊対策として、QRコードを印刷したシールを2016年11月から該当する高齢者に無償配布している。これまでに約40人が利用した。

1センチ角のQRコードに固有番号と市役所の電話番号

 「爪Qシール」と呼ばれるこのシールは縦横1センチメートル角ほどで、手または足の爪に貼り付ける。QRコードには高齢者ごとに固有の3桁の数字と、入間市役所の代表番号が記載されている。爪Qシールを貼った高齢者が徘徊している場合、発見者がQRコードを読み取ることで市役所に問い合わせられるようにしているのだ。

入間市が認知症の高齢者向けに無償配布する「爪Qシール」
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 市役所は夜間・休日の当直を含め24時間対応可能となっており、交付済み番号の台帳と照らし合わせて高齢者の身元を特定できる。台帳は市役所のほか、入間市の所轄である狭山警察署にも置いてあり、警察が徘徊中の高齢者を保護した場合も迅速に身元確認できる。そのうえで、高齢者の氏名や自宅の連絡先などの個人情報はQRコードに埋め込まず、プライバシーに配慮している。

 2017年7月時点で約14万9000人が暮らす入間市。65歳以上の高齢者は4万330人で、高齢者比率は27.1%に上る。「高齢者比率はおおむね月に0.1ポイントずつ上昇しているほか、認知症の方も増えており重く見ている」。爪Qシールの導入に携わった高齢者支援課の長谷川直人主事はこう話す。

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シールとは呼ぶものの多少の厚みがあり、付け爪に近い印象だ(左)。きちんと貼り付けていれば、2週間~1カ月はもつという(右)

 入間市ではこれまでもGPS端末を使い、徘徊した高齢者の現在地を把握できるサービスを提供していた。ただ、専用のGPS端末は携帯電話機ほどのサイズがあり常時持ち歩くにはわずらわしいほか、数日おきに充電しないと電池切れで現在地を確認できないなど課題があった。

 そこで長谷川主事ら高齢者支援課の担当者たちは2015年から2016年にかけて、GPS端末以外の高齢者の徘徊対策を検討。さまざまなアイデアや機器、サービスを比較検討するなか、入間市内で2015年に創業したオレンジリンクスの爪Qシールが目に留まり、低コストで充電なども不要な仕組みとして採用を決めた。

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