コンビニエンスストア大手5社が2017年4月に合意した「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」(経済産業省策定)。コンビニで扱う全商品にICタグ(RFID)を貼り付け、会計や物流を効率化するという壮大な取り組みだ。2025年までに1000億点ある商品にICタグを貼付する。

 ただし、このICタグ活用には二つの大きな課題がある。一つはICタグの価格。コンビニで扱う商品に貼付するには単価を「1円以下」にする必要があるというのが、コンビニ各社の共通見解だ。

 もう一つの課題は「ソースタギング」である。サプライチェーンの最上流に当たるメーカーが、本当に商品にICタグを貼付することができるのか。疑問が残る。

 しかも商品の製造時点でICタグを貼り付けるとなれば、そのコストはメーカーが負担することになる。メーカーはコンビニ電子タグ1000億枚宣言をどのように受け止めているのか。

「業務効率化」だけではコスト回収できない

 コンビニで扱う商品は種類が非常に多い。そのため業界や企業によって、ICタグへの関心度合いや検討フェーズはまちまちである。

 既に検討を始めている業界の一つは化粧品だ。日本化粧品工業連合会は2010年から、ICタグの検討を開始。毎年のように、商品にICタグを添付する実験を繰り返してきた。2017年5月30日には「化粧品の電子タグ活用ガイドライン(第二版)」を公表している。

日本化粧品工業連合会が公表した「化粧品の電子タグ活用ガイドライン(第二版)」
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 サンスター オーラルケアカンパニー 営業企画部の小林洋担当部長は、同連合会の電子タグ部会に参加したメンバーの1人だ。「ICタグはアパレル業界で本格活用する動きが出てきたことで、以前に比べて単価が下がってきた。我々も使うことになったときに困らないように、化粧品業界全体で検証を続けてきた」と話す。ただし、実際に化粧品にICタグを添付して業務に活用している連合会企業はまだないようだ。

サンスター オーラルケアカンパニー 営業企画部の小林洋担当部長
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 化粧品メーカーにとって、コンビニに出荷する商品にICタグを貼付するメリットは本当にあるのか。小林担当部長は「業務の効率化だけではICタグのコストを吸収しきれない」と断言する。

 サンスターの場合、工場で生産した商品をいったん卸に出荷する。そして卸からコンビニに商品が出荷される流れになっている。

 工場で商品にICタグを貼付しても、せいぜい卸への出荷情報のためにICタグを読み取るのが楽になる程度で、それ以上の活用法はまだ見当たらない。ICタグを貼付するコスト負担だけが重くのしかかる。

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