総務省が2017年7月4日に公表した2016年度の通信市場の検証結果(案)のうち、今回はNTT東西が展開する光回線の卸提供サービス「光コラボレーションモデル」(光コラボ)に焦点を当てる。

 光コラボは元々、異業種の参入を促すことで新サービスの創出につなげるとの触れ込みで2015年2月に始まった。だが、NTTドコモとソフトバンクが携帯電話回線とのセット販売に活用した結果、光コラボ市場におけるシェアは両社だけで7割弱を占めるいびつな状況となっている。競合他社は「同じ土俵での競争は困難」と不満を募らせており、総務省も携帯電話市場の“寡占状態”が光回線市場に波及することを危惧している。

セット割引にメスを入れるのは難しそう

 総務省によると、2017年3月末時点における光コラボの契約数は前年同期比405万件増の874万件だった。NTT東西の光回線の契約数は同2005万件のため、光コラボの割合は43.6%に拡大した。

NTT東西の光回線の契約数に占める光コラボの比率(上記の「サービス卸」は光コラボのこと)
出所:総務省
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 このうち、NTTドコモとソフトバンクの光コラボの契約数は596万件となっており、全体の68.2%を占める。両社の比率は徐々に拡大傾向にあり、純増数比率は2017年1~3月期で79.7%に達している。

NTT東西の光コラボにおける事業者別の契約数シェア(「MNO」はNTTドコモとソフトバンク、「ISP」はインターネット接続事業者のこと)
出所:総務省
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 光コラボの卸先事業者数は2017年3月末時点で582者(NTT東西の重複を除いた数値)に広がったが、契約数が3万件以上の卸先事業者はわずか16者。NTTドコモやソフトバンク、インターネット接続事業者(プロバイダー)で構成される16者で全体の90%以上のシェアを占める。

 契約数上位の卸先事業者などを対象に総務省が実施したヒアリングでは、NTTドコモとソフトバンクに対する不満が相次いだ。携帯電話回線とのセット契約で提供する割引額が大きく、競争にならないという。総務省は、他の光回線の提供事業者を排除または弱体化させる競争阻害的な料金設定となっている可能性があるため、NTTドコモやソフトバンクを調査する方針だ。

 このほか、NTTドコモやソフトバンクが提供するキャッシュバックも問題視されたが、インターネット接続事業者でも金額の多寡はあるにせよ、キャッシュバック相当(ギフトカードやポイントなど)を還元する例が見られる。こちらに関しては「注視する」という判断にとどめた。

契約数上位の卸先事業者などを対象に総務省が実施したヒアリングの結果
出所:総務省
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 もっとも、NTTドコモやソフトバンクがセット契約で提供する割引額は家族契約で全体の支払いが高くなるほど上昇するものであり、「競争阻害的」と言えるかどうかはかなり微妙である。細かな違いはあるとはいえ、似たようなセット割引を展開するKDDIが“蚊帳の外”となっている点も違和感が残る。ユーザーの反発も予想され、セット割引にメスを入れるのは難しそうな印象である。

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