低質なまとめ記事を量産する場の一つとなっていたのがクラウドソーシングだ。最大手のクラウドワークスとランサーズはWELQ問題の発覚後、相次いで品質改善策を打ち出した。自由な仕事案件の流通を促して活況を呈してきた事業方針を見直し、事業者自らが内容にも責任を持つ体制を模索する。

 「案件の流通を完全に市場の自由に任せると価格競争にさらされる。何らかの歯止めをかける必要があったことは、反省すべき点だ」。クラウドワークスの吉田浩一郎社長兼CEO(最高経営責任者)は、こう率直に語る。

クラウドワークスの吉田浩一郎社長兼CEO
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 仕事を依頼したい企業と自分の技量を生かして仕事を受けたい不特定多数の個人とを、インターネット上でマッチングさせるクラウドソーシング。登録される仕事の内容は情報システム開発やWebサイトの制作、ロゴやチラシのデザインから、データ入力などの単純作業まで様々だ。

 中でもここ数カ月、需要が増えているのがキュレーションメディア向けをはじめとする記事の執筆業務だ。

 「MERYやWELQ等経験者歓迎!ファッションやコスメなど女性向けのトレンド記事を書ける方大募集!!」。ディー・エヌ・エーがWELQなどの記事を非公開にした直後の2017年1月ごろ、クラウドソーシングのサイトには、こんな文句がおどった。

 こうした記事執筆依頼の単価は総じて低い。記事1本当たり1000~1500文字で単価は1000円程度。なかには800円ほどのものもあり、1文字当たりの単価は0.5円前後だ。

 安価な記事作成依頼の案件が増えた一因を、吉田社長は「自由な競争に任せきりにしていたため」と見立てる。クラウドソーシング事業者は自らを「プラットフォーム」と位置付け、利用規約に触れるものを除き原則として案件の内容には関与しない立場を取っていた。結果として「記事作成のコストパフォーマンスをひたすら競うようになり、単価の下落や単価の低い案件の増加につながった」(同)。

IT、人力、制度の三位一体で

 解決に向けてクラウドソーシング大手は、IT、人力、制度の各方面で対策に乗り出した。クラウドワークスは悪質な仕事案件を人工知能(AI)で自動検知する仕組みを、2017年7月5日に導入した。独自開発した機械学習エンジンを使い、利用規約違反や報酬が極端に低い案件を9割の精度で自動検出。人間の目視も組み合わせて削除する。

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