2017年7月7日、都内で開催された「IT Japan 2017」(日経BP社主催)に一橋大学大学院の国際企業戦略研究科教授の楠木 建氏が登壇。「センスある経営者は、組み合わせではなく順列で戦略を考える」など、優れた経営者に共通する考え方を実際の経営者の例を交えて紹介した。

一橋大学大学院 国際企業戦略研究科 教授 楠木 建氏
(撮影:井上 裕康、以下同じ)
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 楠木氏は冒頭、ビジネス(商売)全体を動かして成果を上げる「経営者」と、それ以外の「担当者」は全く別物だと説明。経営者に求められるのは「センス」であり、担当者に求められるのは「スキル」だとし、その掛け合わせで商売の成果が得られるという。

 楠木氏はまた、「センスのある経営者」は千差万別であるものの、その中でも共通項として挙げられる特徴を説明。具体的には「分析よりも総合」「何をしないかを決断できる」「思考が直列」「抽象と具体の往復運動」「インサイドアウト」の5点だ。

 一つめの「分析よりも総合」では、優れた経営者はまず戦略の「ストーリー」を作り、そこから足りない情報を補うとする。企業の経営企画部などで行う分析の手法である「SWOT分析」を例に挙げ、「担当者はすぐに分析をしたがるが、それは経営に必要とされる総合の仕事とは逆方向である」と楠木氏は述べる。加えて「競合他社に比べた自社の強みや、何が脅威かなどは、本来は最高度の判断である」と説明。優れた経営者は「本当に大切なこと」は大体分かっており、先にストーリーを組み立て、そのストーリーに必要な情報を調査する順番が重要だとした。

 二つめの「『何をしないか』を決断できる」では、「何をするか」ではなく「何をしないか」を決定することで、競合他社との違いを作るとする。競争戦略などの分野では、他社との差異化の種類は、どちらがより優れているかの「Operational Effectiveness(OE)」と、違うものであり優劣のつけられない「Strategic Positioning(SP)」があるという。「OEは人間でたとえると身長や年齢などものさしで測れるもので、SPは男女の性別や出身地など、そもそも違うもの」(楠木氏)。経営の戦略では、SPに関することで「何をしないか」を考えることが重要であるという。

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