2017年6月13日、ICTの総合展である「Cloud Days 札幌 2017」(札幌コンベンションセンター)で、ファームノート代表取締役の小林晋也氏が、クラウドや人工知能(AI)を活用した農業の経営力向上について講演した。

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ファームノートの小林晋也代表取締役
(写真:浅野久男)

 ファームノートは世界の農業の頭脳としての「農業版グーグル」を目指す農業ITベンチャー。人工知能を活用して牛の飼育管理ができるサービス「Farmnote」を提供している。Farmnoteでは、牛の健康状況や発情状態などのデータをクラウドで管理し、スマートフォンやタブレットなどの手元の端末でいつでもデータを確認できる。

 以前は、こういったデータは大量の紙を使って管理することが多かった。目の前にいる牛の様子がおかしくても、原因を突き止めるためには事務所に戻ってノートに記録したデータを確認する手間が必要だった。Farmnoteを利用すれば、違和感を感じたらその場ですぐデータを確認できるので、農家の負担を軽減できる。

 各固体の生産性分析や牧場の活動履歴を見える化し、KPI(主要業績指標)による管理ができるようになることで、農家の経営力を向上できると説明する。今では1600の農家が同社のシステムを採用しており、日本で飼育されている牛の4%に当たる16万頭をFarmnoteで管理しているという。

 Farmnoteで必要となる牛の活動データの収集、入力を自動化するため、同社は牛の首に取り付けるセンサー端末「Farmnote color」を開発。活動量や反芻時間、休憩時間といったデータから、発情や疾病の兆候があるなど注意すべき牛を自動的に選別し、利用者のスマホやタブレットに通知する。データはAIが学習し分析しており、データが増えるほど高い精度で異常を検知できるようになる。

 乳牛の場合、分娩後に搾乳できるため、発情期を見逃さずに分娩の間隔を縮めることで生産性が向上する。小林氏はある農家での牛の妊娠率が、Farmnote利用前後で15%から25%まで向上した例を示した。妊娠率15%という数値は一般的なもので、25%は長年の経験と勘に頼るだけでは実現が難しい数値だという。この農家では年間で200万円程度純利益が改善したいう。

 同社は今後、畜産以外の幅広い農業分野でクラウドやAIの活用を促進することを目標に、園芸なども含む全ての作物を管理できるサービスの準備を進めている。農協や通信事業者、商社などと提携し、海外展開にも積極的に取り組んでいく方針だ。