2017年5月31日、「Cloud Days 名古屋 2017」(名古屋国際会議場)で、経済産業省新規産業室の新規事業調整官・石井芳明氏が、クラウドやIoT、ビッグデータ、AIなど新たな技術の進展により変わるビジネス環境とベンチャー企業の重要性、それとともに変わる経産省の取り組みを紹介した。

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経済産業省 経済産業政策局新規産業室新規事業調整官石井芳明氏
写真:筒井誠己

 最初に石井氏が取り上げたのは、政府による日本再興戦略の柱でもある「産業の新陳代謝とベンチャーの加速」だ。ベンチャーの資金調達を見ると、安倍内閣が成長戦略を打ち出して以降上向きとなり、2012年度下期の297億円が2016年度上期には928億円と3倍を超える。1件当たりの調達額もかつての数千万円規模から1億円を超えるようになっているという。

 ベンチャー投資の増加に加えて、ユーグレナやサイバーダイン、スパイバーなどユニークなベンチャー企業が現れてきてたのも、最近の傾向だと石井氏は言う。経営者のレベルが上がってきており、社会が持つ課題の解決を目指す人が多くなってきていると同氏は指摘する。

 さらに今後は、リアルとデジタルが融合する、いわゆる第4次産業革命の影響が非常に大きくなると石井氏は強調。第4次産業革命が進展するなかで、現状維持の場合、2030年の名目GDP(国内総生産)は624兆円なのに対して、積極投資で挑むと846兆円まで拡大する。その差は222兆円という具体的な試算を示し、ベンチャー育成の重要性を強調した。

 このようななか、経産省では「7つの方針」を掲げる。具体的にはデータ利活用の環境整備、イノベーション・技術開発の促進、第4次産業革命の中小企業・地域経済への波及などだ。

 ベンチャー政策については、各省庁縦割りの施策を改め、省庁が互いに連携を進めていくのではないかという。経産省は起業家教育にも力を入れる。石井氏によると、現代の日本人の7割から8割は起業やチャレンジに尻込みするという。時間はかかるかもしれないが、同施策ではこうした状況を変えることを狙う。

 最後に石井氏は、会場の来場者に向けて「一緒に新しいことにチャレンジしていきたいと思う」と述べ、話を締めくくった。