2017年5月30日から始まった、クラウド、ビッグデータ、IoT、セキュリティ、モバイルなどのテーマを網羅した総合展「Cloud Days 名古屋 2017」(名古屋国際会議場)内のセミナーで、日経クラウドファーストの中山秀夫編集長が「事例で分かった、クラウド導入のつまずきポイント」をテーマに講演した(写真)。

写真●日経クラウドファーストの中山秀夫編集長
写真:筒井誠己
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 中山編集長は、過去28件のユーザー事例からつまずきのポイントとして、クラウド導入に当たっての社内の懸念、予算の超過、実装したシステムの性能不足の3点を挙げた。これらのつまずきに対して、中山編集長は企業がどのように対処してきたのか、具体的な事例で解説した。

 協和発酵キリンでは、サーバーベースで半数に相当する46の業務システムをAmazon Web Services(AWS)で稼動させることを目指した。問題は信頼性に関する経営層の懸念だった。同社がとったのは、金融系の基準をベースにした第三者のお墨付きだ。

 具体的には、AWSがクレジットカード情報保護基準(PCI DSS)に対応済みであること、FISC安全対策基準にも対応していることを示し、クラウドの信頼性を強調したという。

 中山編集長は「今後は、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)もAWSを使っているという一言が、社内の懸念払拭に大きな威力を発揮するのではないか」と言う。

 ビル管理システムをクラウド上に構築する竹中工務店の事例では、機械学習で消費電力を予測するシステムを構築したものの、1予測当たりの費用が高価になり、コスト回収が難しいという事態に直面した。このケースでは、機械学習の前段階で、比較的安価なSQL DBによる前処理を導入し、1予測当たりで2万円近くかかっていたコストを3000円までに圧縮することに成功したという。

 性能不足への対処については、ファーストリテイリングの事例を取り上げて解説した。最後に中山編集長は、「つまずきの大部分は個々のクラウドサービスの特性にある」としたうえで、「AWSだけでも100種類もあり、改定も頻繁に行われている。サービス進化も非常に速い。最新の情報をチェックすることが重要だ」と強調した。

■変更履歴
当初、第4段落で「具体的には、AWSがクレジットカード情報保護基準(PCI DSS)に対応済みであること、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)がAWSを採用していること」としていましたが、正しくは「具体的には、AWSがクレジットカード情報保護基準(PCI DSS)に対応済みであること、FISC安全対策基準にも対応していること」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2017/06/05 19:00]