IoT(インターネット・オブ・シングズ)という言葉がここ数年で一気に広まった。だが、実際に社会へ普及させるにはは大きな課題がある。課題の1つは通信コストだ。

 これまでのインターネット活用の主役はヒトだった。接続するデバイスもPCやスマートフォンというヒトが利用するものだった。通信でやり取りするものは、ヒトが使いやすく楽しむためのリッチなコンテンツが中心となる。そのため通信インフラには広帯域と高品質なものが求められ、1台当たり数千円(月額)の通信費が必要だった。

 しかし、モノの通信には、それほどの広い帯域や高い通信品質は必要ない。IoTでやり取りするのは数値や少量のテキストデータだからだ。そのため、LTEや3Gなど既存の携帯電話系の通信インフラは、IoT環境ではオーバースペックとなってしまう。

 もう一つの課題は電源だ。ヒトが利用するスマートフォンであれば、都度充電すればよい。だが、ヒトが行けない場所にこそIoTが必要という要件も多いだろう。そのため、電池交換せずに数カ月や数年単位での稼働が求められる。

通信コストの課題を解決するLPWA

 これらの課題を解決するのが、LPWA(ローパワー、ワイドエリア)と呼ばれるIoT通信技術だ。その名の通り、低消費電力とカバー範囲の広さが特徴である。さらに3G/LTEなど従来の無線技術に比べ、圧倒的な低コストを実現する(図1)。

図1●IoTの課題を解決するLPWAの特徴
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 LPWAの通信コストは破格で、1台当たり10円(月額)を下回るものが登場しはじめた。この新しいプラットフォームが提供するサービスにより通信コストは、既存の3G/LTEに比べて10分の1から100分の1ほどになると見られる。

 良いことずくめに見えるこのLPWAにも制約がある。それは通信速度だ。LPWAの方式やサービスごとに仕様は異なるが、そのほとんどが100bps〜数百bps程度。だから動画やWebブラウジングなどの通信には適さない。だが、幸いIoTは機械なので最低限の情報以外は必要ない。通信速度が低いと消費電力を抑えられるため、むしろ都合が良い。

すでに表面化しているIoTセキュリティの課題

 LPWAなどの普及を大きく加速させる技術によるインフラ整備によって、IoTは本格普及間近といってよいだろう。しかし、そのことを無邪気に喜んでばかりはいられない。なぜなら、IoT機器は既に攻撃者に狙われ始めているからだ。何の対策もせずにIoTの普及が進めば、被害は甚大なものになると想像するに難くない。

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