日本経済新聞社は2017年1月、AI記者の利用を開始した。企業が開示した決算発表資料から業績データや要点を抽出して記事の体裁に整え、日経電子版などに掲載する「決算サマリー(Beta)」だ。
 人工知能(AI)技術を使う独自の文章生成システムを導入し、原稿の執筆からネット公開に至る全ての作業を自動化。人間の記者が持つ決算記事の執筆テクニックを応用して文章の精度を高めている。

 東京証券取引所が運営する「TDnet(適時開示情報閲覧サービス)」に上場企業が決算資料を開示した後、決算サマリーでは「10秒足らずで原稿が完成する」(デジタル編成局編成部の吉村大希氏)。ネットに掲載するまでは1分から2分程度だ。

日経新聞が日経電子版などで公開する「決算サマリー(Beta)」のコンテンツ
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 原稿は基本的に、上場企業1社の決算について「業績」「要因」「見通し」という三つのパラグラフにまとめる。公表された数値をテンプレートに当てはめて文を作るだけでなく、売上高や利益が前年同期から変化した理由も分析して記述しているのがポイントだ。

 対象が決算の短い速報(決算短信)に限られる、といった制約はあるものの、記者が書く記事に近い内容の文章を人間には不可能なスピードで大量生産できる。

 決算サマリーのシステムは、AI研究を手掛ける松尾豊・東京大学特任准教授研究室や、日本語解析技術を得意とする言語理解研究所(ILU)の協力を受け開発した。企業がTDnetで開示するXBRL(eXtensible Business Reporting Language)形式のデータとPDF形式の決算短信を基に、文章を生成する。

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