A社の山田さんらが開発してきたシステムが、ついに本番稼働を迎えました。入念に準備してきたはずでしたが、トラブルが噴出してしまいました。

 「なんとかしなくては」。そうつぶやいた山田さん自身、ナーバスになっています。プロジェクトルームや会議室をバタバタと走り回りながら、懸命にトラブルの収拾に当たっています。

 ところが、ユーザー企業側の担当者の表情は険しさを増すばかりです。「これで大丈夫なの本当に?」と、きつい言葉を山田さんはもらいました。

 さらに、利用部門からも次々と問い合わせが入ってきます。

「これ一体どうなってるわけ?」

「その機能の操作方法は、説明会でお伝えしましたよね?」

「忙しいから覚えてられないよ!」

 山田さんの回答は、利用部門の機嫌を損ねてしまったようです。山田さんはやるせない気持ちになりました。

 ふと在田先輩の様子を見ると、この状況にも関わらず落ち着き払っています。怒鳴り込む勢いでやってきた利用部門の担当者には、「ご不便をおかけして申し訳ありません。もう一度こう操作していただけますか」と説明しています。すると相手の表情が和らぎ、「慣れてなくて、手間を取らせてしまいすみませんね」と姿勢も一変しました。山田さんは不思議でなりません。

 プレゼンスは有事のときほどものを言います。三つのポイントに気を付けるとよいでしょう。一つは相手に安心感を与えるように悠然とした動きをすること。二つめは相手への共感を全面に打ち出すこと。三つめは感情的な言葉に勢いで反応しないことです。

 一つめのポイントから見ていきます。有事は誰しも不安になるものです。筆者も若手の頃はバタバタしがちでした。そんなとき、「君が慌てているとお客様に不安を与える。悠然と接するように」と先輩に指導を受けました。

 そうなのです。慌てず落ち着いていると、周囲に安心感を与えます。チームリーダーやプロジェクトマネジャーは特に、内心では冷や汗をかいているとしても、落ち着いているように接しましょう。

 有事の際にどんな態度だったのかは人の記憶に長く残ります。有事に頼りないと思われるとプレゼンスが大きく下がり、その後の仕事にも響きます。逆に落ち着いた態度を保てば、普段以上にプレゼンスを向上させられます。

クレームには共感を強くする

 トラブル時は、問い合わせやクレームも普段以上に受けます。そこで大事なのが、二つめの相手への共感です。

この先は会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は登録月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら