この特集の第1回で触れた通り、米AMDにとっての悲願は、デスクトップPC市場でシェアを巻き返すだけでなく、サーバー市場で成功することである。サーバー市場は利益率が高く、シェアを維持していれば継続的に売上が立つからだ。

 サーバー市場で一番重要なのは初期コストよりもオペレーションコストであり、しかもその大きな部分を電気代が占めている。単にサーバーの消費電力だけでなく、サーバーを冷却するコストまで加味しての話である。

 ここ数年はプロセッサが1世代進化するごとに性能/消費電力比(電力効率)が、ときには大幅に改善している。その結果、古いサーバーを長期間使うよりは、まめに最新機種に入れ替えた方が電気代削減の観点から経済的になっている。このため、全面入れ替えだけでなく基幹部品のアップグレードという形で最新機種に入れ替える動きがかなり活発である。

 こうした市場でシェアを獲得できれば長期的な売上がきちんと立つ。この観点からも、AMDにとってはのどから手が出るほど、欲しい市場なわけだ。

クラウド普及がサーバー市場の変化を招いた

 AMDはK7アーキテクチャーの時代に、「Athlon MP」というデュアルプロセッサ対応のCPUを開発して、サーバー市場に参入したが、目立った成果は残せなかった。ただし、このときの経験は、続くK8~K10世代のサーバー向けCPU「Opteron」で生かされて、ピーク時はサーバー市場で25%ものシェアを握るに至った。

 ところが、続くBulldozer世代では、肝心の性能/消費電力比の悪化によりみるみるシェアを落としてしまった。だからこそ、AMDはサーバー市場を最重要マーケットとみなしていた。

 昨今のトレンドは、Opteronの時代とやや異なっている。Opteronの時代はスケールアップ、つまり単一サーバー内にどれだけCPUをつなげられるかが重要だった。このためOpteronでは最大8プロセッサ構成が可能になっており、4プロセッサ止まりだったインテルも追従する形で(AMDからだいぶ遅れたが)Xeon E7シリーズにおいて8プロセッサ構成を可能にした。

 ところが最近はスケールアップではなくスケールアウトが主流になっている。サーバー1台当たりの構成は2プロセッサか、多くても4プロセッサに留めて、その代わり多数のサーバーを外部で接続して全体の性能を上げる、という考え方だ。クラウドサービスの普及がこのスケールアウトというトレンドを引き出したとも言えるが、結果として現在は2プロセッサのサーバーが広く使われるようになった。

 面白いのはこの2プロセッササーバーが4プロセッササーバーの市場をを侵食しつつあることだ。2プロセッサながら、1プロセッサ当たり22コアなど多くのコアを搭載することで、それまでの4プロセッサと同等以上の性能を実現しよう、というものだ。言ってみればCPUパッケージ内でのスケールアップ競争になりつつあるわけだ。

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