ICTを平和目的に積極的に活用しようという動き「PeaceTech」。その推進者の1人である金野索一氏が、PeaceTechのキーパーソンに会い、その取り組みや思いを語ってもらう。(菊池 隆裕=日経BPイノベーションICT研究所)

 平和のためのテクノロジー利用である「PeaceTech」を体現している日本人経営者、7人目のゲストは原丈人氏だ。原氏は、27歳まで中米で考古学調査に携わっていた。その研究資金を稼ぐため、スタンフォード大学のMBA(経営学修士)課程に学び、国連フェローを務めるとともに技術系ベンチャー企業を立ち上げた。それがきっかけでシリコンバレーを拠点に活動するベンチャーキャピタリスト(VC)となって現在に至る。現在は、株式資本主義や国家資本主義でもない「公益資本主義」を唱え、貧困層の幸福を追求している。

バングラデシュで遠隔教育を推進

 原氏は2000年以来、PUC(パーベイシブ・ユビキタス・コミュニケーションズ)を提唱してきた。PUCの概念を一言で言えば、「コンピュータを活用した究極のコミュニケーション環境」になる。テレビや電話のように、直感的に使うことができるコミュニケーションを主体としたユビキタス・コンピューティングをイメージしている。

DEFTA PARTNERSグループ会長の原丈人氏
(写真:Edo Tech Global)
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 原氏による数多くの活動実績の1つが、PUCと密接な関係にある、バングラデシュで展開中の「デフタ・ブラック・ネット・モデル」事業だ。バングラデシュは貧困国だが、その理由の1つとして「国民の半数以上が、読み書きできない」という教育事情が挙げられる。

「バングラデシュには、教育の強化が必要です。パソコンの普及もまだまだですし、通信環境もナローバンドですが、教師の絶対数が少ないため、遠隔教育の普及が必要だと考えました。そこでPUCです」(原氏、以下同)

 原氏が経営する会社の1つにXVDテクノロジーホールディングスがある。XVDとは、ハイビジョン画像のリアルタイムコーデックだ。この技術を使うことで、ナローバンド回線の上で、高精細な動画を送受信できる。

XVDの贈呈式の様子
(写真:DEFTA PARTNERSグループ)
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「XVDは、コストパフォーマンスの良いリアルタイムコーデックで、フルHDの動画を1メガ以下に圧縮できます。このため、遠隔教育や遠隔医療向けに、安く、消費電力も少なく利用できるアプリケーションです」

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