「FinTechは何を破壊するのか。既存の金融秩序にほかならない」。2017年2月28日に開催された「Nikkei FinTech Conference 2017」の基調講演に、SBIホールディングス代表取締役執行役員社長の北尾 吉孝氏が登壇した。

SBIホールディングス代表取締役執行役員社長の北尾 吉孝氏
(撮影:加藤 康、以下同じ)
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 北尾氏によれば、「既存の金融秩序というのはなかか壊れない」という。FinTechなどデジタルテクノロジーだけで破壊するのは「至難の業だ」(北尾氏)。自身がソフトバンクからSBIグループを立ち上げてきた経緯に触れ、「我々は、当時、インターネットの爆発的な破壊力を活用して『金融革命』を起こした」と振り返った。

 SBIグループの創業は1999年。「その前後に日本では金融ビッグバンと、インターネット革命が相まって進行した。我々の船出は非常な幸運に恵まれていた」(北尾氏)。

金融エコシステムの構築と規制緩和

 現在のSBIグループは、オンライン証券、オンライン銀行など各事業分野において、「SBIグループの企業がすでにナンバーワンを獲得しているか、必ず獲得するようにと取り組んできた」(北尾氏)。例えば、オンライン証券ではSBI証券が個人株式委託売買代金で34.9%、そのうちの個人信用取引で36.2%と圧倒的に高いマーケットシェアがあるという。

 北尾氏は、「証券も銀行も保険も、各社ともに同じような時期に始めたのに、なぜ我々が全体的に優位になってきたか。それには、『金融の生態系』、いわば金融のエコシステムを構築したからだ」と説明した。

 金融資産を保有している個人の顧客からすれば、自分のお金をどの金融機関に預けるか、どの金融商品を購入するかの判断が重要になる。つまり、「個人金融資産をどうアロケートするかが問題になる。それらは、すべからくリスクとリターンよって判断される」(北尾氏)。

 そこで個人が銀行に預けることも、証券を買うことも「ワンストップでできるようにした。いわばAからBへ、CからDへと個人金融資産を簡単に移動できるようにしてきた。こうした金融エコシステムを構築したことが、勝つ秘訣だ」(北尾氏)と強調した。

 こうした結果のもう一つの要因として北尾氏は「規制緩和」を挙げる。「インターネットというテクノロジーだけではできなかった。幸いにも橋本龍太郎内閣のときに金融ビッグバンがスタートし、業界を超えた新規参入が可能となった」(北尾氏)と振り返った。

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