「ダークWeb」と聞いてどのような印象を持つだろうか。多くの読者は「犯罪組織による違法な取り引きが頻繁に行われる闇サイト」といったイメージを持っているかもしれない。確かに、そういった側面はあり、昨今のサイバー攻撃やサイバー犯罪を助長しているのは否めない。

 ただ、実際には著名なSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)サイトといった、一般的なWebサイトも設置されている。その意味では、必ずしも犯罪組織のみが集うところではない。筆者は長くダークWebをリサーチしているが、ダークWebの存在がクローズアップされるにつれ、誤解も広まっているように思う。

 誤解したままではダークWebの脅威に向き合えない。そこで、この連載ではダークWebを“正しく”理解するために、ダークWebの仕組みとそれを取り巻く状況について解説したい。

ダークWebはディープWebの一部

 まず、ダークWebとはどのようなものであるか端的に説明しよう。

 最初に言っておきたいのは、「ダークWeb(闇Web)」と「ディープWeb(深層Web)」は同義ではないということだ。ダークWebはディープWebの一部であり、いわば親子関係にある。

 ディープWebとは、検索エンジンでは見つからないWebコンテンツを指す。これは米コグノントおよび米ストラクチャードダイナミックスでCEO(最高経営責任者)を務めるマイケル・バーグマン氏が「The Deep Web: Surfacing Hidden Value」という論文で提唱した。

 ディープWebの情報量は2000年時点で一般的なWebサイトを示すサーフェスWeb(表層Web)に対して500倍と言われており、多くはディープWebには認証といったアクセス制御がされていないとされている。そのため、運良く見つけられれば自由に閲覧できるものが多い。近年では検索エンジンの技術進展などにより、ディープWebの一部が検索結果として表示されることがある。

 さて、本題のダークWebに話を移そう。ダークWebとは、ディープWeb上にあって、匿名性を保ったままアクセスできるWebサイトを指す。ダークWebとディープWeb、サーフェスWebで大きく異なる点は、該当Webサイトへのアクセス方法だ。3者の関係性は次の図のようになる。

ダークWebとディープWeb、サーフェスWebの違い
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 ダークWebの開設者の多くは、Webサイトを「誰でも閲覧できるものにはしたくない」「意図的に隠したい」という意図を持っている。ダークWebの閲覧者(ユーザー)もWebサイトにアクセスする際に、政府の検閲を回避したりプライバシーを保護したりしたいと考えている。

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