「当社の売上高の6割は食品だし、ナチュラルローソンという店舗もある。『マチの健康ステーション』とも言っているくらいなので『(そうした事業を)手掛ける社員が不健康でどうする』と言えば受け入れられやすい」。ローソンで最高健康責任者(CHO)補佐や健康保険組合理事長などを務める宮崎純常務執行役員は笑顔を見せる。とはいえ、同社の健康への取り組みは楽な道のりではなかった。

ローソンでCHO(最高健康責任者)補佐を務める宮崎純常務執行役員
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 同社は社員の健康診断結果について現状と目標値を定めWebサイトで公表している。それによると、2012年の男性の肥満率は37.3%、喫煙率は37.9%と、いずれも全国平均より高いことが浮き彫りになった。平たく言えば「男性社員の3人に1人が肥満ということ」(宮崎常務)だ。2018年に男性肥満率27.7%、喫煙率23.3%まで引き下げるという目標に対して、まだ開きがある。これはコンビニエンスストアチェーンの運営という、同社の事業内容と大きな関係がある。

働き盛りの部長2人が、相次いで倒れた

 約7000人いる同社社員のうち約4割は、全国に約1万2000店ある店舗を巡回し店長に指導する、いわゆるスーパーバイザーの業務を担っている。彼ら彼女らは1人1台の社有車を貸与されており、自宅から担当する店舗への通勤に社有車を使うことも認められている。「加盟店の店長に『こんな商品が出ましたよ』と薦めるには自分でも食べてないといけないし、競合他社のコンビニの商品も試食する。それだけ食べるうえ、車移動で体を動かす機会も少ないからどんどん肥満になってしまう」(宮崎常務)。

 そんな同社の経営陣が、社員の健康について本気で考えるようになったのは2010年頃のこと。40代前半、部長クラスの働き盛りの社員2人が相次いで倒れたのだ。1人は快復・復帰できたものの、もう1人は「入院して一命は取り留め、5年ほど後に復帰できたが、第一線は退かなくてはならなくなった」(宮崎常務)。

同社はWebサイトで、肥満・高血糖・高血圧などと診断される社員の比率や喫煙率の現状と目標を公開。併せて、健康への取り組みを「健康白書」としてまとめている
(出所:ローソンのWebサイト)
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 そうした経緯もあり同社は、手始めに社員に健康診断の受診を徹底させることにした。もともと9割程度の社員は健康診断を受けていたというが、2012年に「受けないと本人は賞与15%カット、上司は10%カット」というディスインセンティブ制を導入。これにより受診率は100%になった。

 そうやって健康状態を「見える化」したところ、次に判明したのは上述のような診断結果の悪さだ。「このままではまずい」。そんな気運が高まり、社長がCHOを兼任するなど経営陣が健康にコミットメントする姿勢を明確にしてきた。

 具体的な取り組みとして同社は、2種類のアプローチで社員に働きかけることにした。1つは全社員を対象にするもの。もう1つは血糖値や血圧などで悪い結果の出た、いわゆるハイリスク群の社員に対する健康指導だ。

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