ITエンジニアの不足感が募っている。IPA「IT人材白書 2017」によれば、ユーザーのIT人材の“量”の不足を指摘する割合は、2016年度調査で84.5%に達する。

 経済産業省の見方も同じだ。日本のITエンジニアの数は約92万人で、2015年時点で約17万人のITエンジニアが不足。2030年までには約59万人のITエンジニアが必要になり、先端IT人材は2020年までに4.8万人の不足と予想している。

 IT技術の急速な発展で、これまで以上にITエンジニアへの需要が高まっている。その背景には3つの理由がある。

ITエンジニア需要が高まっている背景
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 まず、AI(人工知能)やIoT(Internet of Things)など新しい技術を使った開発ニーズの高まりである。

 次に、企業が求めるスキルとITエンジニアのスキルがマッチしていないケースが多いことが挙げられる。IT業界にはその時々に技術のトレンドがあるが、新しい技術を選択するか否かは個々のITエンジニアの判断になりがちだ。主要なプログラミング言語だけでも何十種類もあり、フレームワークや各種ツールを加えるとその数は膨大になる。ITエンジニアによって強みとなる技術が異なる一方で、企業が求める技術や要件も多様化している。その結果、両者のマッチングはより難しくなり、応募や採用数は減少している。ところが後述する通り、どんな業界もITが企業戦略になっていることや、デジタルテクノロジーを駆使した新サービスや製品開発が加速している。そのためITエンジニアの需給ギャップが高まっている。

 最後の理由は、働き方の多様化である。20年前であれば正社員として1つの企業で定年まで勤め上げるという働き方が多かったが、近年は雇用の多様化が進みエキスパートスタッフ(派遣社員)やフリーランスとして働く人が増えている。ITスキルが高く優秀なエンジニアは、1つの企業に雇用されるよりも個人で直接企業から仕事を請け負うフリーランスなどの働き方を選択するケースが増えている。

AIやIoT求人は増加傾向

 IT戦略は企業戦略の中核となっており、近年では全業種業態でIT化が加速している。国内でのIT投資も積極的に行われており、今後も増加すると考えられる。そのニーズは様々だ。従来のITベンダーやSIerを通じた大型発注が続く一方、社内の業務効率や生産性の向上を目的としたSaaSの導入や、最近ではRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やセキュリティ対策などの案件も多い。

 AI活用やIoT化に向けたツール導入や製品開発ニーズも高まっている。それに合わせてデータ活用に関する業務も増加傾向にある。AIやRPAを活用するに当たり、大量のデータを扱うため、データの整備や解析手法に熟知していることが重要になる。

 また、ITエンジニア需要の高まりから、未経験でもIT業界にチャレンジしたい、あるいは実務経験はないが独学でスキルを磨いている人材などを対象に、積極採用する企業も増えている。ただし、全ての企業がAIやIoT、データサイエンティストなどの求人にシフトしているわけではない。求人としては増加傾向だが、まだまだ既存技術を活用する求人が圧倒的に多い。

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