IT現場で仕事に追われていると、自分を高める時間がなくなりやすい。そんな状況からの脱出に、実は手帳が役立つ。自分を高める活動に励むITエンジニアのひと味違う活用法や、手帳の専門家の使いこなしワザを紹介する。

 「勉強会を主宰しよう」「ITの資格を取るぞ」―。職場で担当する業務をこなすだけで満足せず、自分をさらに高める活動に励むITエンジニアが増えている。

 背景には、クラウドなどの分野で新技術が次々と登場していることがある。自主的に勉強し、最新の技術知識をいち早くキャッチアップしようとしているわけだ。技術知識だけでなく、業務知識や、利用部門の関係者との対話術といった仕事に役立つスキルを磨くITエンジニアも増えてきた。

 ところがIT現場では、こうした自分を高める活動に対して邪魔が入りやすい。手戻りで開発スケジュールが切迫したり、突発の保守対応を求められたりするからだ。これらの対処に追われると、自分を高める時間がなくなってしまう。そのため、時間をうまくやり繰りする必要がある。

 こうしたなか、ちょっとした工夫によって自分を高める時間を確保し、成果を出しているITエンジニア3人に出会った。彼らは、ある「ツール」を活用している点で共通する。

手帳に書いてやるべきことを明確化

 その一人、北 真也さんは、通信事業者に対してシステムの企画提案やプロジェクトの立ち上げ支援を行っているITエンジニア。「担当する業務分野で日本一詳しい人になる」(北さん)という目標を立て、業務時間外にも自主的な勉強に励んでいる。

 通信分野のプロとやり取りする業務に携わっているため、高いレベルの技術知識が求められる。そうした知識を習得するには日本語の資料では足りず、海外の標準化団体の英文資料を読みこなす必要がある。そこで北さんは、技術知識を習得する傍らで、英語学習にも励む。

 自分を高める時間を確保するため、北さんは仕事、プライベートを問わず、その日、その週に取るべき行動を明確化している。そのためのツールが手帳だ。1日分に1ページを割り当てた「1日1ページ」と呼ばれるタイプの手帳の各ページを4分割し、それぞれに役割を持たせて記入する(写真1)。

写真1●手帳を生かして自分を高める活動に日々励む北 真也さん
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 例えば、左上の欄には当日の予定概要を記入する。グループウエアから既に決まっているミーティングなどの予定を書き出す。その隣、右上は業務に関連するメモの記入欄。右下の欄は仕事に限らず思いついたアイデアや、感じたことをメモする際に使う。左下は、当日のタスクを書き出す欄である。

 とりわけ目を引くのは、業務に関連するメモの記入欄だ。「頭の中でモヤモヤしていることをよく書く」と北さんは明かす。気がかりな点を棚卸しして頭の中を整理し、業務を円滑に進めるには何をするとよいのかをはっきりさせるためだ。実施すべき行動が明確になることでモチベーションが高まり、業務効率の向上が見込める。それによって自分を高める時間も確保しやすくなる。

 さらに北さんは同じ手帳の別のページに、PCで作成・印刷した「5カ年計画」の紙を張り付けている。5年後のありたい姿と、それを実現するための各年の行動目標を整理したものだ。例えば、英語の勉強であれば、2020年にTOEICで何点取るというありたい姿を掲げ、それを踏まえて2016年12月には何点に到達するという目標を立てている。

 時間が空いたときなどに手帳をさっと開き、5カ年計画のページを見返す。到達度を確認しつつ、今週取り組むべき行動を洗い出すヒントにする。これが自分を高める活動のモチベーションの維持・向上につながっている。

1週間のムダを手帳上に可視化

 製造業系のITベンダーでテスト自動化ツールの検証などを担当する工藤 隆一郎さんも、自分を高める活動に力を入れるITエンジニアだ。

 工藤さんは現在、情報処理関連の資格取得を目指している。日々の業務や家族と過ごす時間を十分に確保しつつ、資格のための勉強時間をいかに捻出するかが課題だ。「目的なく、漫然と過ごすムダ時間を作らないように注意している」(工藤さん)。

 ムダ時間を撲滅するため、工藤さんが日課にしているのが、前日の活動の振り返りである(写真2)。毎朝、コーヒーを飲みながら、見開きで1週間のスケジュールを確認できる「週間バーチカル」と呼ばれるフォーマットの手帳に、前日どのように過ごしたのか記入する。時間を効率的に使えているかどうかを、日次で確認するわけだ。

写真2●毎週の時間の過ごし方を手帳に記録する工藤 隆一郎さん
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 時間の使い方を把握しやすくするために、複数の色のペンを使い分けている。出社から退社までの業務時間は緑、睡眠時間は青、プライベートの予定に割り当てた時間を黒、そして資格の勉強のような「未来への投資時間」(工藤さん)を赤といった具合である。

 記入していくと、何をして過ごしたのか思い出せない時間帯が出てくる。これがムダ時間だ。週末に改めて手帳を見返し、空白が多いときは「ムダ時間が多かった」と反省して次週の発奮材料にする。逆に赤で囲った時間が多い週は自信が増すという。

 時間の過ごし方を手帳に記入し、振り返ることで工藤さんは「自分を高める時間を早朝と帰宅後にしっかり確保できるようになった」と話す。早朝には書籍を読んだり、定期的に巡回するWebサイトの更新情報をRSSリーダーで確認したりしている。また帰宅後の時間は、情報処理の資格試験の勉強にきっちり割り当てているという。

仕事と勉強のスイッチを切り替え

 自分を高める活動で成果を出すには、北さんが実践する「やるべきことの明確化」や、工藤さんが実施する「ムダ時間の可視化」は効果的だ。これらの取り組みとともに注目したいのが、集中力を高める工夫である。

 せっかく自分を高める時間を確保できても、納期間際の仕事が頭に引っかかって集中できないようではもったいない。仕事と自分を高める活動のスイッチをうまく切り替える必要がある。金融機関のシステムの保守などを担当する阿部 麻希子さんの取り組みが参考になる。

 阿部さんは以前に担当した業務で管理会計に強い関心を持ったことをきっかけに、IT現場の仕事を遂行しつつ公認会計士の資格取得を目指している。仕事と資格取得の勉強を両立するために、やはり手帳を活用している。

 1日の仕事を終えた後、阿部さんは退社前に必ず手帳を開き、翌日に取り組む必要があるタスクをすべて書き出す(写真3)。「書き終えたら、仕事のことをスパッと忘れる」(阿部さん)。記入した手帳も職場に残し、仕事のスイッチを完全にオフにする。これによって、後の時間は資格試験の勉強にしっかり集中できるという。

写真3●仕事と資格勉強のスイッチ切り替えに手帳を活用する阿部 麻希子さん
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 翌朝、出勤すると再び手帳を開く。前日に「スパッと忘れた」タスクの一覧を参照して思い出し、再び仕事のスイッチをオンにする。当日の予定概要と、タスク一覧とを見比べながら、どのタスクをいつやるかを決める。「ITエンジニアは夜間でも仕事の電話がかかってくることが珍しくなく、オンとオフの切り替えが難しい」と阿部さんは話す。手帳を切り替えのためのスイッチにしているわけだ。

 実は阿部さんは以前、担当業務を一通り理解した後に手帳の利用をやめた時期があった。すると退社後のプライベート時間にも翌日の仕事が頭に浮かびがちだった。「仕事の不安が顔に出てしまったのか、友人に心配されたこともあった」(阿部さん)。

 そこで再び手帳にタスクを書き出すようにしたことで、この問題を解消。自分を高める活動に力を入れられるようになった。

即時性や記入の自由度にメリット

 一昔前であれば、手帳はもっぱらスケジュール管理ツールだった。IT現場であれば、グループウエアが定着し、さらにスマートフォンなどのデジタルツールも普及している。わざわざアナログの手帳を使う必要はないと思われた方も多いだろう。

 しかしお気付きの通り、ここまで見てきた3人のITエンジニアは、自分を高める活動がやりやすくなるように、手帳というツールを活用している。

 手帳にはスマートフォンアプリなどのデジタルツールにはないメリットが主に三つある。(1)即時性、(2)記入の自由度、(3)持ち込みの自由度である(図1)。

図1●自分を高める活動に手帳を活用する主なメリット
スマートフォンなどのデジタルツールと比較すると、即時性、記入の自由度、持ち込みの自由度の高さが特徴といえる
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 (1)の即時性とは、使いたいと思ったときに、すぐに利用できること。手帳評論家の舘神たてがみ龍彦さんは「例えば気になることや、アイデアが思い浮かんだときにさっと開いてすぐ書き留められる」と指摘する。スマートフォンのアプリで同じことをするには、起動時にパスワードを入力したり、必要なアプリを起動したりといった操作が発生する分、時間がかかりやすい。

 (2)の記入の自由度も手帳ならではといえる。手帳は記入する内容を自分で決められる。予定を書き込んでもよいし、仕事で受けたアドバイスをメモしても構わない。見開きの左ページは仕事の予定記入欄、右ページは個人目標やアイデアメモといった具合に“カスタマイズ”することも容易だ。

 手帳「NOLTY」シリーズを販売する日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)の矢野真弓さん(NPB事業本部 販売促進部長)は、「他の文房具を組み合わせられる」と話す。例えば、仮の予定を付箋に書き、数カ所に張っておくといった使い方ができる。

 デジタルツールの場合、用途ごとに専用のアプリがそろっている。ただし、一つのアプリで複数の用途を満たしたいといったカスタマイズには手間が掛かりやすい。

 (3)の持ち込みの自由度は、ITエンジニアにとっては意外に大きな要素といえる。例えばユーザー企業の拠点に常駐するITエンジニアは、データ漏洩対策のために、私物のデジタルツールの持ち込みを厳しく制限されることが多い。また、自社が勤務先のITエンジニアでも、グループウエアに登録した予定を外出先で確認するには、会社から貸与された端末を起動しなくてはいけないケースが少なくない。

 その点、手帳であれば持ち込みに制限がかかることはまれだ。そこでグループウエアに登録された重要な予定を書き写し、外出先ですぐに確認できるようにしておいたり、仕事中に自分を高める活動のアイデアが浮かんだ際にさっとメモしておいたりといった使い方ができる。

 もちろん、デジタルツールが手帳より優れている点は多い。例えばログが残る点や、後々の検索のしやすさではデジタルツールに軍配が上がる。クラウドのサービスと組み合わせ、どこからでもデータにアクセスできるという点も手帳にないメリットだ。

 従って、自分を高める活動で手帳を生かすITエンジニアも、デジタルツールを併用していることが多い。例えば北さんは「タスクにかかった時間の記録にはスマートフォンのアプリを活用している」と明かす。ツールを適材適所で活用しているわけだ。

 以下では、手帳評論家の舘神さんが、自分を高める目的で手帳を活用する際の、手帳選びや使い方の基本を解説する。続く63ページの別掲記事では、JMAMの矢野さんにさらに手帳を使いこなすワザを紹介してもらった。

強力な武器にする活用の5ステップ

 手帳を効果的に活用するために、筆者は五つのステップを踏むことをお勧めしている。具体的には、(1)目的を決める、(2)手帳を選ぶ、(3)記入ルールを決める、(4)運用する、(5)振り返る―である(図2)。

図2●手帳活用のステップと注意点
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1 目的を決める

 まずは手帳を利用する目的を決めよう。目的を決めずに漫然と使っていると、「会社のグループウエアに登録するスケジュールと代わり映えせず、手帳に記入する手間だけ増えた」といった事態に陥りかねない。システム開発プロジェクトでゴールを設定するように、しっかり目的を決めて使ってこそ、手帳を効果的に利用できる。

 目的設定のポイントは、慣れるまでは欲張らず、一つに絞ることである。最も一般的な目的はスケジュール管理だが、本稿ではITエンジニアが自分を高めるためにどう使えばよいかを考えたい。そこで例として、情報処理推進機構(IPA)の「プロジェクトマネージャ試験」の勉強時間を確保し、期間内に学習のノルマを達成するという目的を想定し、手帳の選び方や活用方法を紹介していく。

2 手帳を選ぶ

 目的が決まったら、手帳を選ぶステップを踏む。一口に手帳といってもさまざまな種類がある。スマホのアプリなどよりも記入の自由度が高いとはいえ、やはり目的に合ったものを選んだほうが使いやすい。どんな手帳を選ぶのかは、目的設定と並んで重要といえる。選択のポイントは綴じ方やサイズなどいくつもあるが、本稿では特に重要な記入フォーマットに絞って説明する。

 手帳は一般的に、一つまたは複数の予定記入欄と、メモ用の自由記入欄、便覧などのページの組み合わせで構成する。代表的なフォーマットは四つある。A.月間ブロック型、B.週間レフト型、C.週間バーチカル型、D.1日1ページ型だ(図3)。

図3●手帳の主なフォーマット
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 A.月間ブロック型は、見開きに1カ月分の記入欄を設けたフォーマット。一覧性の高さが特徴で、1カ月の予定を一目で把握しやすい。

 プロジェクトマネージャ試験のような難易度の高い試験を目指す際には相応の学習期間が必要になるだろう。合格という目標に向けて、大まかな学習計画を立てて把握する目的には、月間ブロック型が適する。半面、1日当たりの予定記入スペースはどうしても限られる。勉強の詳細な内容を書きたい場合は他のタイプを考えよう。

 B.週間レフト型は、見開きの左ページが週間スケジュール欄、右ページは自由記入欄になっているフォーマット。左ページは日付が縦方向に、時間軸が横方向に並ぶ。

 一般的には左ページに予定を、右ページにタスクを書いて管理する。仕事や勉強の予定を1週間単位で管理するのに向く。また、右ページのメモ用のスペースが大きいため、スペースを分割してタスク以外のメモを書くこともできる。直感的に使いやすいので、手帳の活用経験が少ない人には、四つの主要フォーマットの中で最もお薦めである。

 C.週間バーチカル型は、見開きの横方向に日付が、縦方向に時間軸が並ぶフォーマットである。予定やタスクを時間軸に沿って記入して利用する。

 特徴は、予定が入っていない空き時間を可視化しやすいこと。例えば、あらかじめ分かっている予定や、その週に取り組む必要のあるタスクをすべて記入した後に、何曜日の何時に資格試験の勉強時間を取れるのかを把握する使い方に最適だ。また、1日のタスクが5個以上あるなど、きめ細かい時間管理が必要な人に向く。

 D.1日1ページ型は、その名の通り1日ごとに1ページの記入欄を設けたタイプ。メモスペースが最も広いため、仕事内容のメモを細かく取る人に向く。また、資格試験の勉強であれば、その日に学んだことや、得られた気づきを勉強用のノート代わりに記録するために利用してもよいだろう。

 選び方のポイントの一つは、タスクの密度、つまり忙しさの度合いである。1日に取り組むタスクが1~2種類だけであれば、A.の月間ブロック型で十分。よりきめ細かく1日のタスクを管理する必要がある人は、週間型や1日1ページ型を選ぶとよい。なお、週間型や1日1ページ型の手帳にはほとんどの場合、月間ブロック型の記入ページも用意されている。

3 ルールを決める

 続いては、ルールを決めるステップだ。手帳に何を記入するのか「マイルール」を具体的に決めておくことで効果的に活用しやすくなる。ある期間内にプロジェクトマネージャ試験の参考書を読む計画を、週間レフト型の手帳に記入するケースを考えてみよう(図4)。

図4●手帳マイルールの例
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 まず、試験までの残り時間を明確化する。そこから、1週間当たり何ページを学習すればよいかを計算する。これを踏まえてマイルールを作成する。例えば、見開き右ページのメモ記入欄にその週に読む参考書の章を書き出し、チェックボックスを用意する。「□第3章(p.xx~p.xx)」といった具合である。このほかにも、「左ページのスケジュール欄に勉強の時間を赤字で書き入れる」「1章分を読み終えたらチェックボックスにレ点を入れ、読み終えた日付を記入する」といったルールを加えてもよいだろう。

 このようにルールを決めることで、その週の学習範囲が明確になる。また手帳を開くたびに目に入るため、学習する意識が高まりやすくなる。

 ポイントは、無理のないルールに絞ること。例えば「参考書の読了に要する時間の予測と結果を記入する」といった、きめ細かな工夫に関するルールは、手帳に慣れてから徐々に導入していけばよい。

 また、「Googleカレンダー」などのツールを併用している場合は、手帳とツールのどちらをメインにするかを決めておこう。筆者は大まかな予定をGoogleカレンダーに入力し、その後に手帳で詳細を詰めている。

4 運用する

 マイルールが決まったら、いよいよ手帳を運用するステップだ。ルールに沿って、手帳に日々の学習計画などを書き入れ、計画を実行してみよう。

 運用時のコツは、主に二つ挙げられる(図5)。一つは、手帳をまめに開くことだ。開きっぱなしくらいのつもりで、手帳を参照しよう。頻繁に参照することによって、記入した内容が頭の中に浸透する。自分を高めるという目的にも一歩近づくはずだ。

図5●手帳を活用し続けるコツ
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 もう一つのコツは、マイルールを手帳に書いておくことだ。自由記入欄などに別表形式で記載するとよいだろう。というのも、自分を高めることが目的であり、手帳はそれを支援する手段である。その手帳の使い方を暗記するために負担が掛かってしまうのではもったいない。だから、マイルールが分からなくなったら、手帳を開けばすぐに確認できるようにしておく。ルールを覚える必要はない。

5 振り返る

 一定期間、手帳を運用したら結果を振り返ろう。というのも、まれに手帳に書くこと自体に夢中になってしまうケースがある。自分を高めるための時間を確保するツールに時間を取られているわけで、本末転倒だ。そうならないように常に注意したい。

 振り返るべき対象は二つある。一つはマイルールを適切に運用できているかどうか。もう一つは、運用した結果として自分を高める目的に対して効果を発揮しているかどうかである。

 前者については、手帳に書いておいたマイルールを時折見返してみよう。しっかり運用できているルールはそのまま続け、続かなかったものは改善を図る。例えば、章単位の学習では量が多すぎると思ったら、ページ数を減らすなどしよう。

 全く続かなかったルールはすっぱりやめてしまおう。その際に、なぜ続かなかったのか、原因を明らかにしておく。似たような方法をまたやろうとは思わなくなるからだ。

 マイルールの運用が定着してきたら、目的に対して効果を発揮しているかどうかを振り返ろう。最初に決めたルールに固執する必要はない。より効果的な方法を検討して、見直せばよい。

 例えば、特定の時間帯に学習すると集中しやすいのであれば、その時間帯を極力学習に割り当てた予定を手帳に毎週書く、といったルールを加えるとよいだろう。

 一つのルールが身に付いたと思ったら、新たな活用ルールをテストしてみるとよい。手帳活用はこの繰り返しだ。こうすると、1冊の手帳をいろいろな用途に楽に使えるようになる。

 ここまで見てきたように、手帳は自分なりに工夫・改善することで、自分を高める目的に役立つ強力な武器になる。ぜひ手帳を手に取り、上記のステップに沿って活用してほしい。

舘神 龍彦(たてがみ たつひこ)
手帳評論家、デジタルアナリスト
舘神 龍彦(たてがみ たつひこ) アスキー勤務を経て、フリーに。主な著書に『ふせんの技100』(枻出版社)、『意外と誰も教えてくれなかった手帳の基本』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『ビジュアル 使える! 手帳術』(日経文庫)などがある。
手帳をさらに生かすワザ

 手帳「NOLTY」シリーズを販売する日本能率協会マネジメントセンターの矢野真弓さん(NPB事業本部 販売促進部長)に、ITエンジニアを想定した記入例を作成してもらった。

 (i)は、動かせない予定だけをあらかじめ記入し、裁量が利くタスクについては事後に記入した例。「自分が取り組んだ業務を、記入時にしっかり確認することで自信が付く」(矢野さん)。月間の重要なタスクを付箋に書き出し、次のページに張り替えられるようにした工夫も参考になる。(ii)は、手帳の使いこなしに慣れた人向け。右ページの自由記入欄を分割し、仕事とプライベートの予定の詳細を書く欄を設けるなどの工夫をしている。

*日本能率協会 マネジメントセンター作成
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出典:日経SYSTEMS 2016年10月号 pp.56-63
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。