スーパーコンピュータ(スパコン)向けにプロセッサを提供するPEZY Computing。同社の齊藤元章社長は、2018年ごろに開発を見込む次世代スパコンと1000倍高速な人工知能(AI)エンジンを組み合わせることによって、人間の限界を超える知性の実現を狙う。

 AIが人間に代わって様々な仮説を立て、新しい理論を発見していく「AI駆動型科学」により、科学の発展が加速すると期待する。

 今回と次回で齊藤氏に、今後のAI関連技術の開発やAIで科学を発展させる仕組みを聞く。

PEZY Computingの齊藤元章社長
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AI関連技術の開発方針を教えてほしい。

 PEZY Computingは、スパコンあるいは高性能コンピューティング(HPC)用のプロセッサを開発している。現在の一般的なスパコンやHPCのアプリケーションでは、演算の精度は倍精度(64ビット)で十分とされている。だが今後、より高い精度が求められるはずだ。PEZYとしては4倍から8倍、16倍、32倍精度、つまり1024ビット程度まで扱えるプロセッサをサポートしていきたい。

 一方で、深層学習(ディープラーニング)が話題になっているように、AIが大きな可能性を開きつつある。深層学習では、プロセッサの精度はそれほど高くなくていい。神経回路を模して演算処理することを考えると、シナプスの発火は1ビットにしか過ぎないからだ。AI向けプロセッサでも最終的にそこまで落とし込めるのではないかと考え、32ビット以下の1ビットのようなものまでカバーできるように最適化していく。

 スパコン用プロセッサのように精度を高くする開発とは異なり、AI向けには別のプロセッサを開発する必要がある。こうした開発はPEZY Computingでやっていることと方向性が異なるので、2016年8月に機械学習専用プロセッサを開発する新会社「Deep Insights」を立ち上げた。当面は深層学習などに特化するが、深層学習に限定しない機械学習向けのAIエンジンを作っていく予定だ。

AIハードウエアの開発で米国に遅れ

 米国と比較すると、日本にはAI向けのハードウエアを開発する会社が少ない。ソフトウエアを開発する会社は増えているが、ハードウエアのプロジェクトが少なすぎる。このままでは、新しいソフトウエアやアルゴリズムが出てきたときに、これまでやってきたことが全部無駄になるリスクがある。

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