「本当に基幹系システムを乗せて問題ないのか」「障害が起こったらどう対処するのか」。こうしたパブリッククラウド利用の課題は、どう解決するのか。クラウドの導入に携わるITエンジニアへの取材から、移行・運用に関するポイントをまとめた。


 基幹系分野のクラウド活用で今、最も進んでいるのが「SAP ERP」のパブリッククラウドへの移行だ。「この1年で急激に増えている」と多くのITベンダーが証言する。SAP ERPの導入を専門にするNTTデータグローバルソリューションズ(GSL)では既に、SAP ERPのパブリッククラウドへの移行で約30件の実績があるという。

 クラウド移行のきっかけは「2025年にSAP ERPの保守期限を迎えるため」とNTTデータGSLの小倉康徳アウトソーシング事業部ソリューション統括部マネージャーは説明する。オンプレミスで5年に一度のインフラ刷新を考えた場合、SAP ERPの利用企業は次の刷新のタイミングでSAP ERPのバージョンアップなどが必要になる。

 ただSAP ERPの後継は新製品の「S/4HANA」となる。S/4 HANAは動作DBがインメモリーDBの「HANA」に限られるため、オンプレミスを継続する場合、DB移行だけでなく大容量のメモリーを搭載した高額なハードウエアを利用しなければならない。そこで今、大容量のメモリーを搭載したインフラを調達しやすいクラウドに移行してしまおうというSAP ERPの利用企業が増えているのだ。

SAPのERP利用企業はインフラの選択に迫られている
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移行期間の短縮を実現

 案件が多い分、SAP ERPのオンプレミスからの移行の手順も整いつつある。SAP ERPの移行で最も難しいのが「短期間での大量データの移行だ」(小倉マネージャー)。SAP ERPの場合、「既存の利用企業は平均して1TBのデータを蓄積しており、それを1日で移行するといった要件を満たす必要がある」(同)。

 そこでNTTデータGSLでは、仮想化環境向けのレプリケーションソフト「Zerto」を利用するなどして、移行時間を短縮している。Zertoを利用した場合、移行は短期化できるものの、SAP ERPだけでなくOSやツール類も全てコピーされてしまう。「移行後にオンプレミス向けのツールを消していくなどのノウハウが必要になるが、移行作業は簡単に終了する」と小倉マネージャーは話す。

 SAP ERPは動作環境としてAWS、Azureのほかに米Googleの「Google Cloud Platform」や米IBMの「IBM Cloud」などを認定している。こうした背景もあり、SAP ERPのインフラにクラウドを利用することが当たり前になりそうだ。

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